*内容が内容だったので
:09:は非公開。
辛い。
そう、言葉にすることが
すごく僕には勇気がいる。
最近、自分の様子がおかしい。
彼がAと笑っている光景が
まぶたの裏に焼きついて離れないのだ。
家事をしながら、仕事をしながら、
テレビを見ながら、お風呂に入りながら、
すきさえあれば妄想が僕を攻め立てる。
ニコニコと2人は街を歩きながら
腕を組んで、デートをする。
僕にするのと変わらないように、
笑って、話をして、頬をなでて、キスをして、
強く抱きしめて、愛を囁く。
胸が詰まる。
吐き気が、止まらない。
誰か、ここに
切れ味のいいナイフとAを用意してくれ。
さすれば、僕は迷うことなく
妄想の具現化された存在を
ブスリと刺してこの妄想に終止符を打つだろう。
そんなことばかり思ってる。
胃痛と頭痛が止まらない。
そういえば、Sの時もそうだった。
Sとは、高校の頃お付き合いした男性。
生まれて初めて浮気された人。
今まで、ずっと浮気をした人とはすぐに別れてきたけど
Sの時はしばらくは付き合ってたんです。
あの時が酷かった。
2日に1回は別れ話をしたり、喧嘩をしたりして、
そんな毎日が半年以上。
精神的にボロボロだった。
その時は好きだったから、
別れられなかった。
結局、別れだけど。
でも、そのあとの人たちは
浮気をしていると知った途端に急に心が冷えてしまって、
毎回すんなり別れたのだ。
だから、そうか。
約10年ぶりに戦っていることになるんだな。
先日のこと。
熱で僕が寝込んでしまい、
彼は友人の家へと出かけた。
出かけたのは21時頃で
彼は3時間程度で帰ってくる、と言ったが
1時になってもメールのひとつもこない。
そこから、畳み掛けるかのような妄想の嵐。
Aの笑顔が浮かぶ。
彼の笑顔が浮かぶ。
肩を寄せ合って歩くふたりの背中が
ホテルへの入り口へふっと消える。
胃がキリキリと痛み、
汗が、止まらない。
布団に僕の全てをうずめて、世界との遮断を希望するが
妄想たちは僕を捕らえて許してくれはしない。
聞き覚えのある誰かの声が、頭に響く。
「所詮、その程度の愛情なんだよ。」
そんなの分かってる。
「信じたんでしょ?また性懲りもなく」
そうだよ。その通りだよ。
「君がどれだけ表面を覆ったって、無駄だよ。
君の奥底にあるドロドロしたものは決して消えやしない。」
知ってるよそんなことくらい。
それでも、僕はうまくやってるじゃない。
「うまく?嘘だね。
君は知ってる知ってるといいながら、目をそらしてばかりだ。」
何が言いたいの。
「君は自分のこの環境や状況を悲観したりしていない。
そのどうしようもない不安や君を苛む妄想と共存することでしか
生きていることを実感できないんじゃないの?」
まわりくどいわ。
「つまりは。
笑っちゃうくらいのマゾヒストってことだよ。」
余計なお世話だよ。
「救われたいなんて思ってないくせに。
助けてもらいたいなんて思っていないくせに。
なのに強がることに限界を感じている君はなんなの?」
思ってないわけじゃない。
ただ、無理だと思って諦めているだけだよ。
「彼なら救ってくれると思った?」
少し。
「無駄足だったね」
そうだね。
「別れる?」
とりあえずは、別れない。
理由がないから。
「崩壊の時は近いかい?」
その予感はいつもしているよ。
気がついたら眠っていたようで、
彼が帰ってきた。
久々にあった友人と飲みすぎたようで
ベロベロに酔っていた。
とりあえず、お風呂を沸かして
無理やり入らせた。
と。
携帯でメールが開きっぱなしになっていた。
そのメールをみて、唖然とする。
差出人:A
内容:さっきはごめんなさい、寝ぼけてて。
会いたくなって電話しちゃった。
先月、彼と約束をしたのだ。
もうAとは連絡を一切して欲しくない。と。
そして彼は「わかった」と返事をしたのだ。
なのに。
声が、聞こえた。
「崩壊の時は近いかい?」
お風呂から上がった彼を着替えさせて
そのまま寝かせた。
僕は彼にメールを書いた。
Tさん
直接話をすると、収拾がつかなそうなので
メールにします。
覚えていますか?昨晩話したこと。
覚えてないかもしれませんので、改めてお話しします。
すみません、別れてください。
ぼくはもう限界みたいです。
たぶん、ここ最近体調を崩しがちなのは
きっと精神的な部分が弱っているからだと思います。
あなたはね。
ぼくはそれほどあなたを好きじゃないと
思っているかもしれないけど、
ぼくはあなたがめちゃくちゃすきです。
こんないい方されてもピンとこないかもしれない
かもしれませんが、
あなたほど人を愛おしいと思ったことは
これまで一度もありません。
これは、いつか僕があなたに話した
「結婚してもいい、と思うことがあっても
実際に結婚したいと思ったことはない。」
という中の例外にあたります。
ぼくはあなたと結婚したいと、
確かに思っていました。
いや、残念ながら今でも思っています。
でも、だからこそ不安が大きくなります。
あなたが連絡をくれないと
「どこの誰と会っているんだろう」
と不安になるし、
「どうせ、どっかの誰かとホテル行ってるんだろうな」
と考えてしまいます。
すると、ぼくはその不安の反動で
あの人に連絡をしてしまいます。
考えたくないことを考えてしまう、その代わりに
他の人のことを考えるようにしていたんです。
ただ、ここだけは信用していただきたいのですが
あの人とは個人的に10月以来会ってません。
何度か誘われていますが、大体は体の関係を
匂わす誘いなのでとぼけた返信ばかりしています。
(ま、だから向こうが会おうとしないんでしょうけど)
でも、それもだんだん辛くなってきました。
もうあの人への愛情が
渇いてきたからなんでしょうか。
ここ最近は連絡していても虚しい気分になるばかりです。
ちなみに、あの人以外の人とはなんにもないです。
ほかの誰も、すべてぼくからすれば対象外の人なので。
結局、ぼくが縋れるのはあなたとあの人しかいません。
そのあの人と連絡するのも、最近は辛いです。
そして、どう自分に言い訳しても、
やっぱりあの人と浮気する気にはなれませんでした。
こういうところ、馬鹿みたいに真面目なんですよね。はは。
さっきね。
あなたがお風呂行くときに
Aのメール開きっぱなしだったんですよ。
Nって、Aのことでしょ?
ちゃんと切ってなかったんだなと思いました。
まだあんな風な内容のメールしてくるってことは
連絡してたんですよね?
会ってたんですか?ぼくに隠れて。
正直に言いなさいよ。
って、いっても絶対に言わないでしょうね。
残念ながら、あのときみたいに証拠もないので
あなたを強く追求することもできません。
このままじゃぼく、しんじゃいます。
いまも、あなたが寝ている最中に
手首かっ切って死んでやろうかと何度思ったことか。
10代の頃のぼくなら迷いなくやってたでしょうね。
ぼくにはあなたしかいないんですよ。
わかりますか?
ぼくにはあなたしかいないんです。
そのあなたに裏切られたら
居場所がないのは、ぼくの方なんです。
あなたしか愛してません。
あなたしか愛せません。
どうしてくれるんですか?どう責任取ってくれますか?
あの人のとこで人形みたいに
好きなときに好きなだけエッチできる都合のいい
女になればいいですか?
なんでぼくとつきあったんですか?
なんでぼくだったんですか?
なんでぼくをこんなふうにしたんですか?
なんでぼくをこんなふうにおいこむんですか?
なんでぼくはこんなにくるしいんですか?
なんでぼくはこんなにもあなたがすきなんですか?
もうなにもかもわかりません。
話ついでに、白状しましょう。
あなたのパソコンメール、見てしまいました。
メールの文面は見てません。面倒だったので。
あなたがどこかへ送信したであろう画像を
すべてみてしまいました。
Aとキスしてる写真も、一緒に写ってるプリクラも
エッチしてる最中の写真も、ホテルの写真も全部見ました。
そして、その日付を見るたびに胸が苦しくなりました。
何故そんなことをしたか。
あなたがAと連絡取ってないか
確認するためですよ。
そしたら古いのメールに画像があったので
見てしまって、そしたら歯止めが利きませんでした。
最低でしょ?何とでも言ってください。
もう、Aの影におびえて暮らすのは嫌です。
いまだに、ブログも週に3、4回はのぞいてしまいます。
あの時見てしまった写真の二人の笑顔が
あたまからはなれません。
ぼくのケータイに入っている
その頃のあなたの写真を見るたびに辛くなります。
なにもかも、あなたが好きだからですよ。
でも、辛すぎます。
今日みたいに、あなたに不安をぶつけるのも
疲れました。なにより、あなたに悪いです.
馬鹿みたいな話ですが、
今日あなたが帰ってくる1時くらいまで
寝ずにあなたをずっと待ってたんですよ。不安で。
あなたが3時間くらいで帰ってくると言ったから。
何故そういうところ、メール一通でもくれれば
不安じゃないのになぁ。と思いながらメールしました。
自分がね、だんだん嫌な人間に思えてくるんです。
ここ最近、自己嫌悪から、吐くこともスゴく多いです。
ぼくの望みはたった一つだったんです。
言いましたよね?
ほかの誰と会ったって、ちゃんとラインを保ってくれることと
報告してくれれば構わない。
ただ、Aともう二度と連絡も会うこともしてほしくない。
たったこれだけのことです。
でも、彼女から連絡が来ていますよね。
連絡、してたんですよね?会ってたんですよね?
たったひとつの、ぼくを救うための約束ができないんなら、
もう別れるしかないです。
どうぞ、Aのところへお帰りください。
ここでいっしょに住みますか?
ならば、ぼくが出て行った後にどうぞお好きになさってください。
お母様お父様には、ぼくに騙されてたとかなんとか言って
代わりにAを連れて行けばいいです。
こちらの親にはこちらであなたに非がないことを重点に
話を付けておきますのでご安心ください。
こんなにも苦しい想いをしたのは初めてです。
あんなにも幸せな日々をおくれたのははじめてです。
本当にありがとうございました。
もう、二度と恋愛なんてしません。
人を好きになりません。信用しません。
心も開きません。一生、一人で生きていきます。
あなたと同じ名字になりたかったです。
あなたの子供を産みたかったです。
あなたの一生そばにいたかったです。
あなたと同じお墓に入りたかったです。
ごめんなさい。
もう、あなたを縛るものはありませんよ。
自由に生きてください。
ありがとう。さようなら。
書き終えたのは5時だった。
メールを送って、布団に入る。
正直、ほっとした。
脅かされる日々はもうおしまい。
これからはもっと表面を硬くコーティングして
楽しい振りして生きていこう。
今までと何も変わらない。大丈夫、僕ならできるさ。
そう思ったら、久々にゆっくり眠りについた。
朝、目が覚めて。
時刻は7時。
彼は仕事なので、起こしてみるが起きる様子がない。
体調が良くないらしいくて(っていうか二日酔い)
結局仕事を休むことにしたようだ。
携帯に送ったメールを、読んだようだった。
僕が隣の部屋で寝ようとドアを開けたら
「こっちにおいで」
と、引き止められた。
僕はしぶしぶ、布団に入る。
「パソコンのメール、いつみたの?」
「もう、ずいぶん前です。11月とか。」
「そうだったんだね。不安だったでしょ?」
「・・・。」
「Aとは会ってないよ。」
「そうですか?そんな風には見えないメールでした」
「実はね。年末とかからずっとAから連絡が来てたんだよ。
それでずっと無視してたんだけど、昨日電話したのね」
「へぇ」
「もう、今後連絡できなくなると思うって言った」
「そうですか?そんな話してたらあんなメール来ないですよ」
「そうかな?」
「そうですよ。」
「会ってたと思う?」
「はい。何度かは。」
「なら、電話して確かめる?」
「・・・。」
「いいよ。電話して、最近会ってない事を確認しても。」
「そんなことしてどうなるんですか。」
「安心するでしょ?」
「・・・。」
安心、するだろうか?
いや、しないだろう。
それはぼく自身が一番良く知っている。
「別れたいの?」
「そう思っています。」
「出て行くの?」
「そう思っています。」
「そう。」
「もういいじゃないですか。
こんなめんどうなのに付き合うことないです。
Aのところへ帰ればいいです。」
「今更もう無理だよ。」
「そうでしょうか?Aなら喜びますよきっと」
「そうかな?」
「そうですよ。」
「僕はあなたがいい」
「…。」
聞きたくない。
「僕のお嫁さんになって?」
「そうしたかったです。」
「ねぇ、僕の子供を産んでよ。」
「産みたかったです。」
「もう無理?」
「そうですね。」
「僕ね、つくづく思うんだ。
僕って本当にあなたになんもしてあげられないんだなって。
一緒にいてあげることぐらいしか出来ないんだ。
あなたが自分の家の事情とか環境で、
みんなが当たり前のように与えられてきたものをもらってなくて、
そうやって表面を覆いながら生きていることは知ってるよ。」
聞きたくない。
「どこまでいっても、僕とあなたは他人だよね。
でも、僕らは家族になることができるんだよ。
結婚して夫婦になって、子供ができて、
そしたら僕はその子供とであなたを必ず幸せにするよ。」
聞きたくないってば。
「たまにね、想像するの。
お風呂に家族で入っててさ、子供が
『あの子も好きだけど、この子も好き』なんて話をするの。
そしたらあなたが『あの子もこの子も好きなんていってたら
お父さんみたいになっちゃうわよ』って言うの。で、僕が
『本当に勘弁してください』って…。」
そう話す彼の目から、涙がこぼれた。
思わず、拭ってしまう。
「そんなこと、たまに考えるんだ。」