本作は今年のインディーズ映画の中で最も評価されている映画の一つであろう。

そして、その評判に恥じないエンターテイメント性と映像センス、主演である里々花さんの吸引力は誰が観ても魅了されるに違いない。

 

なぜ、これだけの力を持っているのだろうか?

 

(花と僕とのキスシーン)

 

『花に嵐』予告編→

https://www.youtube.com/watch?v=_2yRw1raHZY

 

「世界には二種類の人間がいる、人生の大事な局面を鮮明に覚えている者と全て忘れている者」(僕の記憶だよりなので、不確かです)

本作は冒頭、上下反転した海辺の映像と上の言葉で始まる。

あまりにも学生映画らしいスタートだ。

 

大学に入学し、かわいい先輩に促されるまま映画研究会に入ってしまった主人公の僕(岩切一空)。カメラを2週間借り、自分の生活をとる映画日記を撮りはじめる。映画研究会での活動を撮影する中で、いつもカメラに映る不思議な少女、花(里々花)に魅せられる。花は主人公に作りかけの映画を完成させたいから撮影を手伝ってほしいと申し出る。まずは、小道具を盗み出してきてと。

 

あぁ、僕はあの頃の輝きを忘れてしまった、、とラストに言いそうなスタート。その後続く素人くさくぎこちないカメラの使い方や、「ブツンッ」と音がするような雑な編集、「〜と思いました。」と小並感調なテロップ。全てに情熱だけの映画青年らしい素人くささ満載だが、、、中盤にそれらが全て監督岩切一空の演出であったことがわかるのだ。

 

その後、物語は急転直下。ドキュメンタリー映画がホラー映画に変わり、カメラワークも理由なく変わる、終いには主人公が空を飛ぶという荒唐無稽っぷりを魅せる。

 

「やり方がわかるからやるんじゃない、やりたいからやるんだ」

 

映画を通して叫んでいるかのように、このセリフを実現させている。

見ている誰もが裏切られた、誰も物語の変化に追いつくことができなかった。

猛スピードで物語は終わる。しかし、最後にもう一度主人公は映画研究会の部室を訪れるのだ。さも、最後に「この映画はドキュメンタリーです!」と言わんばかり。最後まで観客に本質を掴ませないから憎らしい。

 

「映画に関する映画」で誰もが思いつくのが『8 1/2』であろう。

夢なのか、現実なのか、それら含めてメタフィクションなのか。何もわからず終わってしまう。本作はまさに POVを用いた『8 1/2』と言える。

 

全ての観客が岩切一空という若者に踊らされ、そしてそれを楽しんだ。

 

全部が計算通りなのかはわからない。ただ、そんな狡猾な岩切監督でも一つだけ想定外だったことがあるのではないか。

それは、ラストに鳴る映画研究会の部員たちの拍手が、が上映後に観客の喝采になってもう一度反復されることだ。

 

文責:KAZUO

 

 

ちなみに、他の視点からの評価ならココがオススメ。

すごく細かく、本作の良さを語っています。

→究極映像研究所(http://bp.cocolog-nifty.com/bp/2016/10/post-f600.html