こちらでお知らせさせて頂いた、
4月のみなとみらいホールでの第九公演ですが、
残念ながらコロナウィルスの影響を受け、
公演中止が決まりました。
ギリギリまで団長を筆頭に、
主催者さん達が開催出来ないかと尽力してくれましたが、
やはり安全には変えられません。
実はみなとみらいホールでの公演は団体の悲願でもあったので、
私達合唱団も悔しい気持ちでいっぱいです。
私は311の時、やはり役者をやっていた時の公演が延期になりました。
公演延期や中止って、経済的にも物理的にも精神的にも、
本当にそう簡単に出来ることではなくて・・・
それでもお客様や出演者のためにその決断を下した全イベントの主催者に、
私は拍手を送りたい気持ちです。
↓下記、団長さんの言葉です。
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演奏会中止のご連絡
昨今の新型コロナウィルス感染症(COVID-19)の拡大を受けまして、
ヨコハマベイフィルハーモニー主催の4月26日みなとみらい大ホールで開催予定であった
第6回定期演奏会を中止することにいたしました。
今回の演奏会は、オーケストラと合唱団あわせて
総勢260名でベートヴェンの交響曲第9番をお届けする予定で準備してまいりました。
クラシックの第一線で活躍されている才気あふれる新進気鋭のソリスト陣、
また当団発足当初からの常任指揮者として活躍している松本宗利音が
私たちと共演する最後の舞台でもありました。
団員一同この演奏会に向けて歩みを続け、
このように大きな輪となりそれをみなとみらいホールという大舞台で演奏することを心待ちにしていました。
開催中止は断腸の思いです。
私たちヨコハマベイフィルハーモニーは団体理念として
『演奏会は、演奏者、お客様、会場のスタッフの方すべてをあわせた空間全体をさし、
関わるすべての人が一体感と幸福感を得られるクラシック音楽の演奏会実施を目指すこと』
を掲げています。
今回のCOVID-19による感染症拡大の危険性は団員、お客様、そのご家族にまで及ぶことが
日に日に懸念されるようになってきました。
万全の体制をしき、実施の運びとした場合にも大きな不安を抱えたまま本番を迎える形になり、
現時点でいい演奏会にはならない。ということは明白です。
団員一同苦渋の決断ですが、演奏会はやり直しがききます。
今の状況がずっと続くことはあり得ません。
1か月先か、半年先か、また1年先かはまだわかりませんが、
必ず収束の時がきます。
その時が心から歓喜の歌を演奏できる時と考え、
第九の演奏会を開催したいと考えております。
皆さまの日頃の支え、ご理解に感謝いたします。
今後とも変わらぬご支援をどうぞよろしくお願い致します。
団長 池谷真澄
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もう一度言いますが、
長年準備を進めてきたイベントを中止・延期することは、
本当に簡単なことではありません。
オリンピックも中止になりましたが、
主催者と出演者にとっては、
「仕方がない」
だけで済む問題ではないのです。
特に日本では、芸術は不要不急であり、
趣味ということだけで捉えがちで、
未だに休演休館した舞台や美術館などの補填が0な状態です。
確かに芸術とは、命に係わるものではありません。
でも、どんな時代であっても、
人の心に光を灯し続けてきたのは、
いつだって音楽・絵・パフォーマンス、
すなわち芸術でした。
特に第九とは戦争とも大きく関わっています。
第一次世界大戦で日本は多くのドイツ兵を捕虜にしました。
戦時中の話、しかも敵国ですから、日本でのドイツ兵捕虜に対する扱いは、
相当酷かったものであると想像できます。
しかし、そんな中で徳島県の坂東俘虜収容所では、
そんなドイツ兵捕虜たちを同じ人間として敬意を持って扱いました。
そしてそのゆるやかな空気の中で驚くべきことに楽団が結成され、
日本で初(アジアでも)の第九演奏が、
ドイツ兵捕虜たちによって大正時代に行われたのです。
そしてそこから、日本中で第九が歌われるようになりました。
日本中でここまで第九が演奏され続けているのは、
第九が平和・人類愛の象徴だからです。
スポーツ同様、芸術は言葉が違う方々とも繋がれる、
素晴らしいツールです。
私も去年イギリスで曼荼羅アートを出展しましたが、
そのエッセンスはしっかりと伝わっていました。
どうぞ日本で、もっと芸術に対する価値と支援が上がることを、
私は願ってやみません。
そして、またいつかみなとみらいホールで公演が実現した暁には、
天にまで届くような、心からの『歓喜の歌』を、
皆様にお届けできればと思っています。