久しぶりの隆弘のオフ。
「あ、隆弘。」
嬉しくて嬉しくて。
隆弘の部屋で逢う約束をして、
いつもより、気合を入れておしゃれして来たのに。
でも、隆弘はちょっとだけ仕事させてってパソコンと、にらめっこ。
一緒にいても、私のこと、見てない。
「ねぇ。隆弘?」
「ん?もうちょいで、終わる。待ってて。」
画面から、目を離さずに返事。
仕事大好きって知ってる。
どっちが大事って、選べない人だってことも知ってる。
でもさ、
ちょっと淋しくなっちゃった。
隆弘に背中を向けて
つぶやく。
「顔みたいのに…。」
私はそっと部屋を出た。
別に怒ってるわけでも、スネてるわけでもない。
ただ、ちょっと、寂しかったの。
よく二人で通りかかる公園で足を止める。
ブランコでゆらゆらしながら、ぼーっと空を眺める。
「きれー。隆弘と見たかったな。」
TAKAHIRO SIDE
「あれ?」
気づくとあいつの姿が見えない。リビングにも寝室にも、キッチンにもいない。
そういえば、ちょっと前に玄関のドアが閉まる音がしたような。
探しにいかなきゃ。
ケータイだけポケットに突っ込んで、部屋を出る。
少し、歩いたとこにある公園のブランコで彼女を見つけた。
彼女に近づく。
「こんなとこで何してんだよ。」
「見て!キレーな夕焼け。今ね、隆弘と一緒に見たかったなぁって思ってたら、隆弘がここにきたの!やっぱり魔法使い~。」
なんて、ニコニコしながら言うから、かわいくて抱きしめたくなる。
「でも、お前のこと、ほったらかして、せっかく逢えたのに、もう夕方になっちゃった。」
「んー、そうだね。でもさ、一緒に夕焼け見るの、初めてだよ?これはこれで、嬉しいじゃん。隆弘とここにいる偶然!それで、チャラにしてあげる!」
なんて行って笑う。
いつも、こんな俺を見守ってくれる彼女。
逢えなくても、文句も言わず、そこにいてくれる。
それで、俺がどれだけ救われてるか、気づいてない。
「ありがとう。」