Nissie's Kitchen
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信教の自由と現代日本社会

ご存知のかたも多いかと思いますが、最近オウム真理教元教祖の娘がメディアに登場することが多くなりました。

あるテレビのニュース番組でのことですが、彼女のインタビューVTRを受けたキャスターやコメンテーターが、「彼女は事件と向き合っていない」「謝罪のことばがなかったのが残念です」などと、彼女に対し否定的なコメントをしました。

また、多くのマスメディアは、オウムの後を受けたとされる2団体の「元教祖への回帰」と言われる活動を批判的に報じています。

その裏には、日本国憲法第20条1項前段に掲げられている「信教の自由」という権利が、この日本ではふだんあまり意識されていないという状況があるのではないかと思うのです。

「信教の自由」は、国家によってさまざまな宗教が弾圧や迫害の対象とされてきたという長い歴史を鑑みて設けられた規定です。

いまの日本社会において個人が特定の宗教に対し強い帰依意識を持つことは、他国に比して稀だと思います。

その状況が特定の宗教を信仰する個人に対し、やや冷やかな反応を生んでいるのではないかと思うのです。

わたしは前述の2団体の宗教活動を国が妨害することは、憲法の規定に則り、極力慎重であるべきだと思います。

元教祖への回帰それ自体が直接犯罪につながるという因果関係が存在しない以上、国家がその信仰を妨げることは憲法上も問題があるということです。

もちろんマスメディアの活動は、直接的に憲法で規制されるものではありません。

しかしオウム事件以後、マスメディアの論調はこれまで以上にいわゆる「カルト宗教」に対し厳しいものになったと思います。

憲法には同様に「報道の自由」も保障されていますから、マスメディアのそのような報道自体は自由におこなわれるべきだと思います。

ただしそれを主張するには、正しく信教の自由という権利を踏まえた上でなければならないのです。

前述したキャスターやコメンテーターの発言の裏に、そのような意識が低いことは手に取るようにわかります。

もっとも、法的責任に問われるべきでないはずのひとに対し謝罪を求める発言に関しては、報道に携わる者の姿勢としてそれ以前の問題だと思いますが。

病は気から?

今回は精神病と薬物治療について私見を述べたいと思います。

今日のマスメディアは、日本の精神科医が諸外国に比べ過多に薬物を処方していると報じることがよくあります。

わたし自身は1日15錠の精神科処方の薬を飲んでいます。

彼らに言わせれば、わたしのケースもその部類に入るのでしょう。

でも、わたし自身はいまの処方は適切だと考えています。

多くのメディアが問題視するのは、大量に薬物を摂取することの弊害、いわゆる副作用です。

しかし、どうも副作用ばかりがクローズアップされ過ぎて、薬本来の効用をほとんど取り上げていないような気がします。

なるほど、いわゆるうつ病は、「こころの風邪」などという言いかたもされ、誰でもかかりうる病気だと言われています。

適切な治療をすれば、回復するケースも多いでしょう。

しかし、昨今のメディアの論調では、あたかも大量に薬物を投与するために、その副作用でそのようなにんげんの自然治癒力を妨げているというような印象を世間に与えているように思うのです。

世間にそういう精神科医がいることは否定しません。

しかし、そのようなうつ状態が数年も続く場合、双極性障害の可能性を疑わない医師は、医師としての技量に欠けているとわたしは思います。

最終的に双極性障害と診断された患者が初診からのその診断に至るまで、日本では平均8年かかっていると言われています。

近年、単極性気分障害、いわゆるうつ病と、双極性障害、いわゆる躁うつ病はまったく病因が異なるという研究が進んでいます。

いまでも賢明な精神科医はそのちがいを見極め、患者に適切な処方をしています。

双極性障害の場合、どうしても薬の種類が増えても仕方がないとわたしは思います。

また、双極性障害の薬の処方は、医師の考えかたによってもかなりちがいます。

「病気と付き合う」ということを重要視する医師は、なるべく少ない処方で患者に無理をさせず静養させることが最善だと考えます。

逆に「病気と闘う」という覚悟を持った患者に対しその意思を尊重する医師は、副作用を賭しても強い効果のある薬を処方します。

わたしはその両方のタイプの医師にかかったことがあります。

わたしは「病気と付き合う」などとは夢にも思わなかったので、前者の医師にかかっていたときは本当に苦痛でした。

いまは後者の医師とともに、一緒に病気と闘っています。

だから生きがいを求めて、いろいろなことにチャレンジすることができるのです。

一概に薬の量が少ない処方がいいとは言えないというのが個人的な感想です。

医師にとっていちばん大事なことは、患者の意思を尊重し、彼らの望む生活スタイルになるべく近づけさせることだとわたしは思います。

精神障害者の就労と障害年金

とあるメンタルヘルスの雑誌で、障害年金についてのQ&Aというのがありました。

そのなかのひとつに、

Q 障害厚生年金2級をもらっています。この度、障害者枠で一般企業に就職しました(基本、平日5日間1日4時間)、時給760円で月間80時間程度、月収6万円。障害年金の月額より少ない金額です。こんな私でも、就職したら年金は支給停止されますか?停止だと働かないほうがいいような気がするのですが…。

A 次回の更新までは障害厚生年金2級は支給されます。そのときに審査されて障害厚生年金3級への降級になるかもしれません。
 それでも、働いて収入を得るほうが私は尊いことだと思います。
「年金が支給停止になるから働かない」
というのは本末転倒です。働けるまで回復したことを前向きに捉えましょう。

というやりとりがありました。

社労士さんの言うこともわかるのですが、当事者としてはちょっと違和感を覚えました。

働くことについて本人が尊いと感じるかは別として、収入が減るというのは大きな痛手です。

このかたは障害厚生年金2級を受給しています。

障害基礎年金の月額がおよそ6万5千円、障害厚生年金の上乗せは基本的に障害認定日の平均標準報酬額と被保険者期間の月数(最低保障月数300)によって決まります。

賃金収入を大幅に上回ることはまちがいないでしょう。

1日4時間働けると考えるか、1日4時間しか働けないと考えるか、それは本人の健康状態にも依ります。

やっとこさ4時間働いての6万円と、フルタイムで働ける余裕があっての6万円では、本人の負担がまったくちがいます。

そして精神障害で働くひとの多くは、長時間の勤務と重労働に耐えられません。

精神の2級ということは、直前の審査の際かなり重度の障害であったと推測されます。

そういうひとが働くことの負担は、たとえ回復傾向にあったとしても相当なものだと思います。

ほんの小遣い稼ぎの6万円ならそのような考えもありかも知れませんが、そのひとの生活がかかっている場合に、個人の自尊心のためにそこまでして働くことが、はたして家族のためによいことなのかどうか。

問題はそう考えざるを得ない社会保障制度にあるとわたしは思います。

少しでも働いたほうが、「ひととしてさまざまな角度から豊かになる」と感じられなければ、ひとは働かないと思います。

これから家族ふたりを養わなければならない当事者の感想でした。
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