①標準燃焼エンタルピー
分子が酸素と反応して完全に酸化されることを燃焼という。
分子が燃焼するときに生じるエンタルピー変化を燃焼エンタルピー変化ΔcHという。
c=combustion(燃焼)
標準状態(1atm、298K)での燃焼エンタルピーを特に標準燃焼エンタルピーという。

②標準生成エンタルピー
分子が生成するときのエンタルピーを生成エンタルピーΔfH(f=formation)、標準状態でのエンタルピーを標準生成エンタルピーという。
生成エンタルピーは、分子を構成する元素の単体から生成するときのエンタルピー変化を用いることにする。
ただし、同素体が存在する場合にはもっとも安定な単体を基準にすることがある。

例えば、ダイヤモンドの場合、グラファイトを基準に考える。
この生成エンタルピーを直接測定することは不可能に近いが(グラファイトからダイヤモンドを生成することは難しい)、両者の燃焼エンタルピーの差を求めることで、ダイヤモンドの生成エンタルピーを求めることができる。

③結合エンタルピー
単体を構成する原子間の結合を切断し、原子にするために要するエンタルピーを原子化エンタルピーΔatHという。
分子ABの結合を切断し、原子AとBにするために必要とされるエンタルピーを結合エンタルピーΔH、あるいは結合エネルギー、解離エネルギーという。


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①状態量:
物質の状態が決まれば決まってしまう量のことを状態量という。
例えば、一定量の気体であれば、圧力Pと温度Tが決まれば、体積Vは状態方程式によって決まる。


②状態量ではない量
例えば、気体を暖めて温度Tにする際の熱量Qについて考える。
この際、熱Qを加えるのみでもいいし、攪拌して仕事Wを加えることでも加熱できる。
熱Qと仕事Wを組み合わせても良い。その際必要になる熱量Qは仕事Wを差し引いた分になる。
よって、温度Tにする際の熱量Qは一定ではない。
このように、経路によって異なる量をとりうる量を、状態量ではない量とする。


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①等温変化
等温変化とは、反応の前後を通じて温度が変化しない反応である。
ΔU=Q+W 温度変化がない=内部エネルギー変化がゼロ
よってQ+W=0 Q=-W

②断熱変化
外界との間で熱の出入りのない系での反応のことである。
Q=0なので、系が外部に仕事をした場合ではΔU=Wとなる。
よって、系が外部に対して仕事をした(断熱的に膨張した)場合、内部エネルギー変化は低下し、
温度は下がる。


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1molの物質の温度を1K上げるのに必要な熱容量をモル熱容量という。
モル熱容量Cは熱量を温度で割ったもの、すなわち
C=dQ/dTで表される。

モル熱容量は定圧変化と定容変化でそれぞれ異なる。

①定容モル熱容量 Cv
定容変化の場合、熱量変化は内部エネルギー変化と等しい。(エンタルピーとは何か? 参照)
よってC=dQ/dTを変形し、
定容モル熱容量Cv=dU/dTで表される。

②定圧モル熱容量 Cp
定圧変化の場合、熱量変化とはエンタルピー変化のことと等しい。(エンタルピーとは何か? 参照)
よってC=dQ/dTを変形し、
定圧モル熱容量Cv=dH/dTで表される。

なお、ΔH=ΔU+PΔVで表される。
このうちPΔVはPV=nRTから、RΔTと変形することが出来る。
よってΔH=ΔU+RΔTとも表すことが出来る。

Cp=dH/dT
  =(dU+RdT)/dT
  =dU/dT+R

Cv=dU/dT

よって、Cp=Cv+Rと表すことができ、定容モル熱容量と定圧モル熱容量との間にはRの差がある。


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エンタルピーとは何か?
一言で言うなら「定圧変化の条件下で、系に加えられた熱量の総和を表す量」である。
しかし、これだけだと何を言っているのかよく分からない。
なので、順を追って説明する。


①内部エネルギー
分子はさまざまなエネルギーを持っている。重力に基づく位置エネルギーや並進に基づく運動エネルギー、
結合エネルギー、静電引力等、さまざまだ。
全体のエネルギーから系全体の位置エネルギーのような外部の力によるエネルギーと、系全体の並進に基づく運動エネルギーを除いたものを「内部エネルギー」という。
内部エネルギーにも多くの種類があるため、内部エネルギーの絶対値を知ることは不可能である。
ただし、内部エネルギーの変化量を測ることは可能である。

②定圧変化と定容変化
定圧変化:
変化を通じて圧力が常に一定の反応。
普通の条件で行われる反応の場合は定圧変化である。(気体が発生しても発散するため、圧力は大気圧のまま一定である)

定容変化:
変化の過程を通じて容積が変わらない反応。
例えば、容積一定の鋼鉄製のボンベの中で行う反応である。

③定圧変化、定容変化における、熱を加えた場合の内部エネルギー変化を表す式
内部エネルギーの変化は ΔU=W(仕事)+Q(熱)で表される。


定圧変化:
系は外部から熱を受け取ると、その一部を使って外部へと仕事をする。
(風船の例で言えば、熱を加えられた風船は膨張することで外部に仕事をしている)
外部への仕事は圧力P(定圧変化なのでここでのPは一定)と体積変化ΔVの積で表し、
W=-PΔVとなる。(外部へ対して仕事をするから、符号は負である)
よって、定圧変化での内部エネルギー変化の式は
ΔU=Q-PΔVとなる。

定容変化:
体積一定のため、系は熱を受け取っても外部へ対しては仕事をしない。
(鋼鉄のボンベの場合熱を加えられても膨張することがないので、外部へ仕事をしていない)
よって、定容変化での内部エネルギー変化は加えられた熱量と等しくなり、
ΔU=Qとなる。

④エンタルピーとは
前置きが長くなってしまったが、ようやく本題である。
上記の③定圧変化、定容変化における、熱を加えた場合の内部エネルギー変化を表す式のうち、
定圧変化のほうに注目してもらいたい。

ΔU=Q-PΔV
このとき熱量QはQ=ΔU+PΔVで表される。
このQをΔHと書き直し、このHをエンタルピーと呼ぶことにする。
するとエンタルピー変化ΔHは、ΔH=ΔU+PΔVで表されることになる。
これがエンタルピーの定義である。

つまり「エンタルピーは定圧変化での熱量変化と等しい」。
というより、「定圧変化での熱量変化」をエンタルピーと呼ぶことにしたと言った方がいいかもしれない。

よって「エンタルピーとは定圧変化の条件下で、系に加えられた熱量の総和を表す量である」となり、
本記事の冒頭に出てきた表現となるのである。



 
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「風船を暖めると膨らむ」、このことを題材に熱・仕事・エネルギーの関係について述べる。

熱を加えることで風船内部の空気に熱が伝わり、空気分子の運動エネルギーが大きくなり、
その結果圧力が大きくなって膨張する。
⇒熱=エネルギー

風船内部の空気分子はエネルギーを獲得することで風船を膨張させた。
この際、風船のゴム幕を引っ張り、外の空気を押し出して膨張している。これは仕事である。
⇒エネルギー=仕事

結局のところ、熱、仕事、エネルギーは等しいものであり、等しいものが異なった形で表れているのにすぎない。


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ファンデルワールスの気体状態方程式

(p)(vnb)nRT



補正項の意味

理想気体の圧力をP0とすると、実在気体の圧力Pは分子間力で引っ張り合っている分だけ小さくなっている。
よって、理想気体の圧力にするためには補正項を加えてやる必要がある。



理想気体の体積をV0は、実在気体の体積Vから実在気体分子の体積を除く(nbを引いてやる)必要がある。


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[疑問]
1molの気体の体積は、その原子の種類に関わらず全て同じである。
原子の種類ごとに重さ(分子量)は違うのに、なぜ体積は同じなのか?

[答え]
温度が同じ気体の圧力は、気体の種類によらず同じである。
そのため、気体はその種類に関わらず同じだけ広がろうとする。
⇒1molの全ての気体の体積は同じになる。0℃1気圧では22.4lである。


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電源の持つ電圧を「電源電圧」または「起電力」という。
電流が流れて電気エネルギーを光や熱のエネルギーに変換し仕事をするものを「負荷」という。
負荷には電流の流れを妨げる性質があり、これを「電気抵抗」または「抵抗」という。

懐中電灯を例にすると、
電源:乾電池は電気を送り出そうとする圧力、すなわち電圧を持つ製品。
負荷:豆電灯は電流が流れることで光を出すという仕事をする。
スイッチは接点により電流を流したり止めたりする。
となる。

○オームの法則
電流は電圧に比例し、抵抗に反比例する。これを式にすると、I(電流)=V(電圧)/R(抵抗)となる。

○直列接続と並列接続
直列接続の場合、電流は同じ大きさで流れる。回路の抵抗は各抵抗の合計となる。
並列接続の場合、どの抵抗にも同じ電圧がかかる。回路の電流は抵抗の分だけ増える。

家庭の電化製品は並列に接続されているため、どの電化製品にも同じ電圧がかかり、多くの電化製品を使うと電流は増加する。


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自分が化学を勉強していて特に苦手なのが電気化学です。
電磁気学に関しては高校時代に習ったっきり、10年近くも勉強していません。
そのせいか電気に関しては中学レベル程度の理解しかしていないっぽいです・・・。
そんなわけで、実に初歩的な内容の更新となっております。。


○電気の単位
V ボルト 
電圧を表す。電気を流そうとする圧力のこと。
水の場合、水位差があれば水が流れる。それと同じように電気にも電位差があり、電位差があれば高い方から低い方へと電気が流れる。電圧はこの2点間の電位差を表す。

A アンペア
電流を表す。電線の中を毎秒流れる電気の量のこと。

W ワット
電力を表す。ワットはW(電力)=V(電圧)×A(電流)の式により表される。

○電気の正体
・原子は原子核と、その外側に存在する電子からなる。
・原子の外部から熱や光などを加えると、電子が原子の外に飛び出すことがある(自由電子)。
・このとき電子が飛び出した原子は電気的にプラスになり、飛び出した電子は他の原資に飛び込むことで、その原子は電気的にマイナスになる。このようにして電気は電気的性質を帯びる(帯電)。
・電気的にプラスやマイナスのエネルギーをもったものを「電荷」といい、電荷は同符号同士は反発し、異符号では引き合う性質を示す。この力を「静電力」、または「クーロン力」という。


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