最近、お茶絡みのお出かけが続きましたので


たぬきの母さんの出番です爆笑

早く書かないと後ろが詰まってる〜(笑)

とりあえず書けた分だけですが、どうぞ♪


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「もしもし?」

あつこの携帯電話が鳴ったのは

JRの宇治駅から茶業会館に向かう坂道を

急いでいた時だった。

携帯の画面には10時25分の表示が出ていた。

「…あつこさんの携帯でしょうか?

私、茶業会館……の…高木と申します。

今日、ご出席予定の宇治茶ムリエの……」

ああ、幹線道路を走る車の音がうるさくて

聞き取れない。

けれど多分、今から行く先の担当者が

開始5分前になっても来ていないのを心配して

電話をかけて来てくれたのだろう。

「すみません!駅からバスに乗ると

到着が開始時間を5分過ぎてしまうので

歩いたのですが、遅れるかもしれません。

時間になったら気にせずに始めて下さいね。

こそっと入りますので」

「では、お待ちしておりますので

気をつけてお越しください」

電話を切ると

どうしてタクシーに乗らなかったのかと

少し悔やんだ。

バスは1時間に1本で、

1本前のそれに乗ることも考えないではなかった


周りに何もないところで待つのは

退屈過ぎると

その考えはスルーしたのだった。

別に、

本を持って来て

読んで待っていればいいだけの話だったのに。

いや

朝に、兄が仕事を辞めたと知って

色んな段取りがぶっ飛んで

オタオタしたのもあった。

駅に着いたのは10時6分。

茶業会館まで歩くと20分強。

タクシー乗り場には目もくれず

一目散に歩道を駆け出したのだった。

途中、

変則の交差点での信号待ちで時間をロスし、

方向音痴も顔を出して

進行方向に不安がよぎった。

ランニングで向こうから走ってきたおじさまに

「あの、この道、まっすぐ行ったら

茶業会館に着きますか?」と尋ねる。

「だいぶ行かなアカンけど、着くで。

坂道きついけどな」

その言葉に反応するように

太陽は熱さを増した。

日傘越しの熱に、輪をかけて、

タクシーの選択肢を思いつかなかったのを

後悔した…

あつこの家の辺りも坂が多いので

何とかなるという最初の気持ちは

砕けつつあった。でも

もう、自分の足で進むしかなかった。

電話を切り

自分にターボをかけて

会館に飛び込んだのは28分。

名乗ってもいないのにロビーにいた女性が

「あつこさん、こちらです!」と

席まで案内してくれた。

首から〝高木〟というネームプレートを下げていた。

着席して部屋の時計を見ると29分。

遅刻は免れた。

あつこの後にも一人二人、

駆け込んで来た人がいた。

〜つづく〜