イタチの後について、元来たと思われる辺りを戻って行く。
♪やらかい葉っぱはやらかい心♪
♪やらかい心はどこでもいける♪
草むらを抜けると真っ暗ないつもの公園だった。
雨は止み、鈴のようなイルミネーションも無かった。
全てのよもぎを摘んでしまったのだから…
「これどうぞ」
イタチが手に何かを握らせた。
「では、また。来年までお元気で」
イタチの言葉と同時にJRの電車がやって来た。
電車のライトがまるで灯りを移すかのように手元に届き、手にしていたものが光り出した。
それはブルーベルの花だった。
電車は行ってしまって再び夜の闇に覆われた。
けれど、花は光ったままで青い小さなライトとなって夜道の足元を照らしてくれた。
歩き出す前に振り返ってみたけれど
イタチの姿はもうなかった。
〜おしまい〜