あくる日のまだ空気が澄んでいる朝早く
庭にカブトムシを埋めた。

両手を合わせて
「天国で元気になりますように」と祈った。

学校が始まった。

だんだんとカブトムシのことを忘れてはいったけれど時々
ー自転車で走っていて虫が顔にぶつかってきた時なんかの音にー面合わせ出した。

そんなある日、カブトムシから手紙が届いた。


翔太くん、元気にしていますか?
ボクが死んだ時はとってもびっくりして
いっぱいいっぱい泣いてくれましたね。
その後、庭に埋めてお墓を作って
「天国で元気になりますように」と祈ってくれましたね。ありがとう。
おかげでボクは、カブトムシの天国で元気に飛び回っています。
ほとんどの仲間はここに戻ってしばらくは休まないと動けないのに
翔太くんが祈ってくれたおかげでボクは来年の夏、またカブトムシになって翔太くんの住む世界に行くことが出来ます。
その時にはたくさん楽しい体験や面白い話を聞かせてね。もちろん、悔しいことでも辛かったことでも構わないよ。
翔太くんが一生懸命過ごした毎日をボクに教えてね。
では、また会うその日まで元気でいてね。


ーおしまいー