夏休みが終わった。
僕の学校は2学期制とかで、
〝今日から9月。2学期の始まりだ〟
なんてケジメもつかないまま、1学期の再開だ。それも、8月はまだあと1週間も残っているというのに。
初日から給食ありの6時間授業だ。
だるい、だるすぎる。
おまけに暑すぎる。
さらに給食を食べた後は眠い。
先生はだるいとか面倒とか思わないのかなー。
そんなことを考えているうちに、なんとか授業は終了した。
僕の家は学区の一番はしっこにあるのでとても遠い。
冷房の効いた図書室で少しすずんで帰るとしよう。
休み明けから図書室に来るモノ好きはいないらしい。他に人の姿はなかった。
一番奥のテーブルの上には、七夕の短冊を二まわり大きくしたくらいの長方形の白い紙が並んでいる。
その紙には、アニメやまんがのキャラクターが黒くコピーされている。
何だろう、これ。どう使うのだろう。
そこに西城さんのお母さんが入ってきた。
「これを二つ折りにして」
と青い折り紙の束をわたされた。
二つ折りを続けていると、その一つを西城さんのお母さんは手に取り、キャラクターの山の中から選んだハムスターを重ねた。その後、上下を一か所ずつホッチキスでとめた。
「あとは、ハサミでまわりの余分な部分を切り落とすだけ」
そう言うと、さっさとハサミを動かし、コピーされた黒いハムスターだけにした。
ホッチキスの針を丁寧にはずして、重ねていた折り紙の方を僕にわたしてくれた。
「ゆっくり折り紙を広げて。せっかくの作品を破ってしまわないように丁寧にね」
「わぁー」
僕は思わず声を上げた。手の中に見事な切り紙のハムスターがいた。
「すごい。何これ?すごいやん」
興奮せずにはいられなかった。
「そんなに喜んでもらえるとうれしいわ。じゃあ、カード出して」
一つ残っていた〝アートさん〟のところにスタンプが押された。
よっしゃーっ!これで全部そろったぞ。
今からきっと素敵な体験ができるはずた。
いったいどんなことだろう。
ちょっと目をつむってみた。
目を開けると果たして……