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ハリネズミの珈琲店の看板には
ハリネズミが住んでいる。

そのハリネズミは夜中になると
看板を抜け出して
背中のハリの1本がピピンと伸びた方向に
ツツンツツンと歩いていく。

目的の場所に着いたなら
ピピンと伸びていた1本は
スルンと背中から落ちていく。

その1本は
お腹を出して寝ていたならば
なんだかちょっとチクッとしたり
背中にスッと入ったなら
かゆっ、となったり。
髪の上にポトリだったら
気がつかなかったり。

けれどもその1本を身体のどこかに
知らないうちに忍ばせた人は
あくる日から
ツラリツラリとお散歩を始めてしまうのです。
知らない場所へ行ってみたくなるのです。

あんな木がある。
こんな隙間に猫さんが。
あっちの花は珍しい。
流れる雲に見とれていたら
あら不思議。

「こんなカフェがある!」

ハリネズミの珈琲店に着いちゃうのです。

ハリネズミの夜の営業力はここまて。

入りますか?
入りませんか?

それはあなた次第。

噂によると〝夢を叶えるお席〟があるそうです。

座ってみたいと思いませんか?