なのに、何ですか?これ。

どうしてあなた、私の中にいるんでしょうか?


「うーん。車体の色は綺麗じゃが、座り心地はふつー、シートはイマイチじゃな…」

こちらの気持ちには知らないふりをして、人の手を勝手に動かし座面をポンポン叩く。
隣に座っていた文庫本を熱心に読んでいた〝読女〟が席を立ってしまった。

痛い人だと思われたんだろうな…

「別にいいじゃーん。気にするに足らん。で、〝読女〟とはなんじゃ?」

今度はそれ?
〝読女〟とは…
何年か前に新聞の一般人の投稿欄のコラムに載ってたの。
《待ち合わせ場所で本を読んでいたら友人が〝文学少女〟と言ってくれたが、少女の年齢でもないから、読書する中年女性に丁度良いネーミングを考えてもらえませんか?》と。
それに対して別の投稿者が考えたのが〝読女〟だったの。

流行ったりもしていないけど、〝歴女〟と言う言い方もあるし、読書好きな中年女性って、繊細で純真な面と〝毒女〟と言いたくなる面もどこかしらにあるから、気に入って自分だけで使っているんです。