どうして水に浸かろうなんて思ったのでしょう。

ほーいさんの怪訝な顔に意を察した小枝は言いました。

最初は雨を捕まえたかったんだよ。
でも一瞬で落ちていく。どうやってもむりだった。ずっと雨を見ていて気が付いたんだ。
湖面に落ちる雨は嬉しそうに消えていくんだってことに。
ううん、消えるんじゃない。
ぴとって湖の水と一緒になるんだよ。
同化して、だからって何が起こる訳じゃないけど、ふわんって水面に模様ができて、それが湖への入り口みたいに見えて…
僕もその入り口から中をのぞいてみたくなったんだよ。

それで何が見えたのかしら?
まりるが尋ねました。

うーんと…
一瞬で上がったから見えなかったよ。

照れ臭そうに笑いながら小枝は言葉を続けます。
でも
でも、
自分を受け入れてくれて、とにかく気持ちが良かったんだよ。