《小説》三者懇談会・中編開始予定時間の10分前に着いた。教室前で待ち合わせるはずの息子はまだ来ていない。廊下に二脚並べられた椅子に座る。自分の頃と変わらない、ブラスバンドの演奏と体育会系クラブの掛け声が聞こえてくる。ガラッと教室の戸が開いて女子生徒と母親が出て来た。残念ながら知らない顔だ。こちらへ向いて「お先です」と声をかけられたので、とりあえず、立って軽く頭を下げておく。前の親子が廊下の角を曲がり降りて行った。「お待たせしました。中にどうぞ」「セーフ」同じタイミングで息子が現れた。