今から25年前に当時大学病院の一助手であった私は
日本で初めての、冠動脈バイパス手術の専門書を書き上げました。原稿を出版社に持っていくと「今までも文章は書いた人はいますが、絵やイラストが描けなくて、皆さん出版を断念されています」とのコメントを頂きました。それから約1年、病院での仕事の合間や土日や祝日を利用して300以上のバイパス手術の絵やイラストを描き上げました。そして1994年、その本が出版されました。題名は「冠状動脈バイパス手術手技」。当時、医学専門書は大学教授が書くのが慣例でしたが、故浅野献一東大教授の「新しい術式の手術書は若い先生に」の一言でゴ一サインが出たのです。本は大変好評で、若手からベテランまで多く心臓外科医から「大変役に立つまた明瞭明確だ!」と高い評価を受け、数回にわたって増刷がなされました。定価は1万5千円でしたが、一時3万円までプレミアが付く程の人気でした。実はほんの数日前に私自身がアマゾンから中古本を買ったのですが、なんと発売から四半世紀を経ても、1万2千500円でした。長く愛読されるとの予想の下に、表紙は当時よく使われたクロスを止め、ビニール素材のハ一ドカバーにしたことが正解で、届いた本は新品同様でした。表紙のイラストを、製作コストを下げるために自分自身で描いことが、つい昨日のことのように思い出されます。

以下はこの7月15日に刊行された新しい心臓・大動脈外科の本です。これも表紙のイラストは自分で描きました。