浜辺美波扮する社会性が皆無にも関わらず天才的な診断能力を持ち、
現役医師の誤診を正す主人公雪村白夜が所属する総合診断協議チーム(通称CDT)。
その活躍を描いたフジテレビ系のドラマ『ドクターホワイト』(関西テレビ制作)。
残念ながら一昨日最終回を迎えてしまった(来週特別編!)が、そのドラマの中では「診断」を確定させる、ということへの強い意志とその重要性が描かれた。
診断を確定しないまま治療を行う、ということは闇雲に闘うだけになる。そこで症状に不可解な点や理解不能なことがあっても多方面からの見識を総合し、チームとして診断を確定し、患者本人に意思を確認する。その過程が描かれた。
よく分からない症状、と言えば、私の「高次脳機能障害」もそうだ。何かおかしい、前までできていたことができない、話の辻褄が合わない、感情がコントロールできない、注意が散漫になり、コロコロと切り替わる。「高次脳機能障害」という言葉を自分の障害として聞いたのはリハビリ病院に入院していた時だった。最初は「高次の(レベルの高い/深刻な)」「脳機能の障害」だと思った。しかしその後、病院のカウンセリングの先生からお借りしたパンフレットで「高次脳機能」というものが人間の脳には備わっている、それに障害が発生している状況だ、つまり
「高次脳機能」の「障害」だ、ということを認識した。患者本人が「病識を持つ」というらしい。
昔から、敵(対象)はしっかり知っておきたい方だった。映像制作のためにロケ先に訪れた時も、まずは撮影するメインの被写体を確認しに行った。どれだけ歩くのが過酷でも、万里の長城の端まで歩いた(歩ける範囲の)。
敵が分からないと、闘い方も分からない。
「何かよく分からないけどおかしい」では向き合えない。「高次脳機能障害」という障害の意味を知って、はじめて向き合えた。そこから私の障害者としてのリハビリ人生も始まった。
今日、豊中市の社会福祉協議会主催の高次脳機能障害者の家族交流会の後、嬉しい話を聞いた。高次脳機能障害となった子どもさんがそれを自分で認識して学校に戻り、友だちも増え自分から話せるようになった、次は就職だ、というご家族(お母さん)がおられたのだ。その子どもさんも子どもなりに自分の障害について「病識」を持ち、それを正面から受けとめて人生を歩み始めたのだろう。就職だってうまく行くに違いない。
なぜなら彼は闘う「相手」が分かっているからだ。

「それ、誤診にしてみせます!」
第何話だったか、白夜が言った。

未来に希望あれ。