昨年末、私がリハビリ病院に入院した時(2016年5月)、最初に担当し、今に至る私の長いリハビリ人生の「きっかけ」をくれたST(言語聴覚士)の
Uさんが故郷の沖縄に戻った。

以前、このブログに書いたこともあったが、
今日はそのUさんに感謝を込めて
当時を思い出して、
その「きっかけ」の話を
書いてみようと思う。

それはたしか、入院して最初の顔合わせの面談の時だったか、
「何か好きな歌手とか歌ってありますか?」
と聞かれ、

「スターダストレビュー」の「トワイライトアヴェニュー」(アルバム「TO YOU」収録)

と答えた。
「スターダストレビュー」は
奥さんと初めて一緒にライブに
行ったバンドで、
実は彼女への結婚もこのバンドの
大阪フェスティバルホールでの
ライブの後、
横の堂島川の上にかかる橋の上で
プロポーズした。
その後舞い上がってライブの余韻も
あってか、夜の御堂筋を梅田から
難波まで二人で歩いたのは、
今でもわが夫婦の語り草だ。

そんな面談の次、
一回目のSTリハビリの時に
Uさんは自分の「iPhone」に
ある曲をダウンロードしてきた、
と言って聴かせてくれた。

流れてきたのは「トワイライトアベニュー」


面談で言ったあの曲だ。
▼トワイライトアヴェニュー/スターダストレビュー
面談からその日までさほど日があったわけではない。
おそらく彼女は私の話を聞いた後すぐ、ネットのダウンロードサイトにアクセスし、
曲を見つけてくれたのに違いない。

そのサプライズと流れ出した懐かしい唄声、
そして想い出のたっぷり詰まった曲を聴いて、
48歳のオッサンはその部屋(ST室)で
号泣してしまった。

・健康診断や医師の言うことに耳を貸さず
 脳内出血で倒れてしまった後悔
・隣に座っている奥さんへの申し訳なさ…

さまざまな思いが入り乱れていたのだと
思う。

まだ「感情失禁」という脳損傷による
後遺症の状況を知らなかった当時の私は
涙を流しながら考えた。
憶えている限り自分は音楽を聴いて、こんなに
涙を流したことはない。しかも人前で。
では今この自分に涙を流させているものは
何か?
もう壊れてしまって何も機能しなくなったと
思っていた自分の脳には、これだけの感情と
涙腺を溢れさせるだけの
「チカラ」と「可能性」が
残っているのではないか?
それをしっかりと引き出せば、
「脳神経外科」的には
「一生動くことはない」
と言われた左半身も
動き出すことがあるのではないか?
今思えば不思議なことに、この一曲を聴く間に、
これだけのことを考えた。
そうして出した結論は、

「リハビリがんばろう」

だった。
そんな彼女が気づかせてくれた
「脳の中の可能性」を信じ、
探し続けて私のリハビリ人生は
今も「現在進行形」で続いている。

その「リハビリ人生」には多くの出逢いと別れがあった。

遠くへ嫁いで行ってしまったOTさん、
違うリハビリ病院に行ってしまったPTさんやOTさん、
違う病院に行ってしまった主治医の先生、
もう通わなくなってしまった施設や事業所のスタッフさん、

そして、遠い南国の島へ帰って行ったSTさん。
彼女には感謝を込めて、
その島の「琉球音階」「琉球旋法」で唄われる、
この唄を贈ろう。

▼涙そうそう/夏川りみ
貴女がまさしく「そうそう」と流させてくれたあの時の「涙」が、
私のリハビリの原動力になっています。

本当にありがとうございました。

どうかお元気で!

せめてもの大阪の良い思い出と土産話に。

このブログに、こんな方から「リブログ」を
いただいた。
Spice of Lifeさん、「Life」とは「人生」。

まさに私の人生に素敵な「スパイス」を振りかけていただいたような気がしました。
ありがとうございました!