Nicky Haydenに憧れて -63ページ目

ハイゼットカーゴ クルーズターボ

納車しました。


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S321V型 ハイゼットカーゴ クルーズターボ ビジネスパッケージ。





2ヶ月くらい乗ってこのマシンのことが分かってきたのでインプレしたいと思う。









まず初めにハイゼットという車がどんな車なのか。





ハイゼットとは軽自動車のシェアNo.1のダイハツが誇るフラッグシップ軽スポーツカーである。





ダイハツ ハイゼット カーゴ

DAIHATSU HIJET CARGO

2007年より採用されているKF型エンジンにをフロントミッドに縦置きで搭載し、後輪を駆動する。

昨今の車は室内の広さを重視するためにFFが増えているなか、これは後輪駆動。スパルタンだ。


フロントミッドシップ+後輪駆動といえばS2000やRX-7などのコーナリングマシンに採用されるレイアウトである。

ルマン24時間耐久レースで活躍したあのパノスもフロントミッドにエンジンを搭載している。



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これにより重量バランスは限りなく理想に近づき、軽快なハンドリングと旋回性を生み出すことに成功している。

それに組み合わされるパワーユニットは水冷3気筒12バルブDOHCターボ。660ccの排気量から64ps/5700rpm 10.5kg.m/2800rpmを発生する。

最大トルクが2800rpmで発生していることからかなりの低回転に振ったエンジンである。

低回転型エンジンというと街乗りを重視したエンジンのように思われがちだが、これには訳があるのである。

日本の軽自動車の自主規制値が64psなので、それを上回らないように高回転のトルクを落とし、デチューンされているのだ。

2007年より採用されたKF型エンジンにターボを組み合わせたとなればこんな値でおさまるはずがない。




ハイゼットは快適性を犠牲にすることなく軽量化を徹底的に進めた結果が随所に見て取れる。



不要な内張を省き、マグネットトレーもそのままくっつく程だ。

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しかし軽量化しつつも剛性は落とさない。カタログ数値には表れない部分もしっかりやっている。
少々無骨ではあるがこの何本も張り巡らされたタワーバーがタダモノではない雰囲気を醸し出す。

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遮音材や内張を絶妙に省くことで軽量化を進め、快適性の悪化は大粒の雨の日でもラジオがかなり聞こえにくい程度におさまっている。




そのおかげか、ハイゼットの車重は940kg(AT)。



ニュルブルクリンクで鍛えられ、タイムを争っているライバル勢のうちの1台、日産GT-Rの車重は1700kg。

パワーこそ劣るものの車重はおよそ55%。この数値を比較するだけでどれほどこのマシンが軽いかお分かりいただけると思う。





さて、シャシーの構成だ。

全長 3395mm
全幅 1475mm
全高 1875mm
ホイールベース 2450mm
トレッド F/1305mm R/1300mm
となっている。

あのGT-Rに比べると相当コンパクトな車体に仕上がっている。

短い全長はマスの集中化のため。ヨーを減らして鋭い旋回力を生む。



前後のオーバーハングを見れば、マスの集中化を徹底的に突き詰めているのが分かる。



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そして狭い車幅はライバルのインを突くため。

ぶつけ合いながらのライバルとのバトルの際、大柄なボディだとわずかに空いた隙間を突くことが出来ない。
しかしコックピットに座り左手をピンと伸ばせば助手席のドアに触れられそうなハイゼットならブレーキングやライバルのインにスッと鼻先を差し込むことができる。

バトルに強いマシンなのだ。

ホイールベースは軽快な旋回性と安定性を両立する絶妙な値である。





最高出力64psのエンジンに940kg(AT車)の軽量な車体、徹底的に煮詰められた車体サイズのパーケージからくる運動性能は相当なものだ。





なんと最小旋回半径は4.2m。

ライバルのGTRのそれは5.7mだ。

これを比較するだけでハイゼットが孤高のコーナリングマシンだということが伺い知れる。


ひとたびステアリングを切り、発生する強烈な横Gは純正で採用されているセミバケット気味シートでは身体を支えきれない程。



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しかしハイゼットは考えられている。いや、考え尽くされている。
実はさらにドライバーの身体のホールドを強化するための装備が奢られている。






それがこれだ!

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このインパネ部が膝あてになっているのだ。ここに膝を押し当てることで右コーナーで踏ん張ることが出来る。

左コーナーは窓枠に二の腕を当てて耐えれば良い。
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フルバケを入れると身体のホールド感こそ良くなるものの、小僧仕様っぽく見えてしまうので、このさりげない気遣いニクい。



そしてハイゼットの全高だ。全高はやや高いが、これはドライバーの居住性を考えた結果なのだ。


ランボルギーニのコックピットを見たことがあるだろうか?

あんな天井が低く狭い視界では清々と運転に集中出来ないだろう。


多少重心が上がってもドライバーの息がつまらないことの方が重要だろう。
そうすることでドライバーの疲労を軽減し、ミスが減る。

ベストラップのでのコンマ1秒よりも長丁場の決勝レースの重視してのことだ。



フロントにマクファーソン・ストラット式コイルスプリング。

リアにはトレーリングリンク車軸式コイルスプリング。





現代のスポーツカーはダブルウィッシュボーンやマルチリンクといった形式が多いが、それらの形式では部品点数が増え車重も増加しかねない。トラブルだって増える。
軽量フロントミッドスポーツカーの位置づけを狙ったハイゼットはそれらを嫌ったのだ。

そして若者の車離れが問題となっている現代。
もっと若者に走る楽しさを知って欲しいと、若者でも手が出せる手頃な価格に抑えるための良い意味のコスト削減を試みたのかもしれない。



サスペンション形式による多少の接地感の減少も乗り心地の悪化も、標準装備されるタイヤにより見事にカバーされている。



タイヤなど減ったら交換され、あまり銘柄までは目に止まらない。あまり注目されない部分だが、ここにいかにコストをかけるかで、メーカーの本気度がうかがい知れる。






なんとブリジストン製である。



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バイク業界では韓国やインドなどの名も知れぬタイヤが純正装着されているなか、安心の国産。BS製である。

サイズは145/R12である。




ライバル達が20インチの255などという大径極太というタイヤを履き無理やりグリップを稼いでいるが、軽量なハイゼットは12インチの145サイズでも十二分なグリップ力を発揮する。

闇雲に重くて大きく太いタイヤを履いたところで走行抵抗の増大、燃費の悪化を招くだけである。

耐久レースも見越した設計のハイゼットは分かっているのである。
見た目だけ重視したハッタリのスポーツカーとは違う。玄人好みの仕様である。

ホイールは鉄チンであるが、下手なアルミより軽い。しかもホイールキャップ付きである。
これは整流効果を狙ったもので、リミッターに当たるほどの速度域ではハンドリング向上と絶大な安定性を実現する。見た目もスマートだ。


これら計算し尽くされたシャシーパッケージから生まれるハンドリング、旋回性は秀逸の一言に尽きる。


ステアリングを軽く切り込むと車体が大きくロールした後にワンテンポ遅れてノーズがインを向き、旋回Gが立ち上がる。そしてすぐにタイヤが鳴く。

実にアナログで人間の感性に合っている。
リアに比べて少し柔らかめのフロントスプリングはクリッピングポイントまでブレーキを残さなくとも舵を入れるだけで自然と前下がりになり、前輪荷重を高めてくれる。
これならば誰でも楽しくスポーツドライビングを味わえるだろう。



アクセルを踏めば僅かなターボラグの後にそこそこ胸のすくような加速を始め、リミッターに当たるまで加速し続ける。
リミッターがなければどこまで出てしまうのだろうか?考えるだけで恐ろしい。

先に触れたように、このパワーユニットは低回転から最大トルクを発生するので極めて街乗りもラクである。





そんな凄まじいほどのパワーユニットを持つマシンには当然強力なブレーキが必要だ。
フロントにディスク。リアにはドラムが奢られたハイゼットは実に素晴らしいブレーキング性能を発揮する。
初期からガツンとくるブレーキがよく効く良いブレーキと勘違いされがちだが、初期制動はそこそこの効力で踏めば踏むほどリニアに立ち上がるブレーキこそ本当の「効かせられるブレーキ」である。

ハイゼットは後者のタイプで、分かっている人が開発に携わっているのだなぁとすぐに分かる。
ブレーキに足を乗せると減速力の割に大きくノーズダイブし、踏めば踏むほど減速Gが立ちあがる。助手席に置いてあるものはかなりの確率で足下へ落ちる。
ブレーキペダルがフロアに着くくらいに踏み込むと、シートベルトは僅かに胸に食い込み、強烈な減速Gとノーズダイブでどれほど減速しているのか分からなくなるくらいだが、軽量な車体も相まって、減速Gは推定4Gほど出てそうだ。
そしてさらにペダルを踏み込み、タイヤがロックし、ABSが効く領域まで踏み込んでみた。。。

・・・・・!?




ABSが効かない!?







そんなはずはない、あの減速Gだぞ!?


フロントにディスクが奢られているのに!?





私はしばし頭が混乱していたが、ある仮説を立て納得できた。








おそらく高度に制御されたハイゼットの最新鋭ABSは、挙動を乱すことはおろか、ブレーキペダルのキックバックもタイヤのスキール音もあげず何も起きない。これほどまでに完璧に制御されているのだ。

決してブレーキが効かないわけではないのだ。








ミッションの出来も素晴らしい。筆者の愛車は4速AT仕様なのだが、変速タイミングの制御。トルクコンバータの出来が素晴らしい。
いつ変速したのか気が付かない。CVTのようだ。


失礼。。少しばかり言い過ぎた。

しかし、少し前の軽自動車とは雲泥の差のシフトショックだ。
これはターボなので高回転まで引っ張らなくとも加速できることが効いているのかもしれない。
4速というとチープな印象だが、余りあるトルクがあるのでこれ以上必要はないのである。
5速も6速もあったところで変速回数が無駄に増えるだけである。

高速道路でもテストしたが、エアコンを入れての100km/h巡航も実に快適であった。

そうそう。この車の魅力を伝えるには、快適装備の話もしなくてはならないだろう。



先ほども言ったように、この車は某メーカーのエアコンレスのtypeRなどのような、小僧車ではない。

エアコンに電動格納ミラー。ドリンクホルダーもついている。

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そして特筆すべきはこの装備!





なんとCDまで奢られているのである。

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スピーカーは運転席と助手席の足元にひとつずつ。

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よくBOSEなどのスピーカーがアフターで売っているが、誇らしげにメーカーロゴが書いてある。

そこは大人なハイゼット。



無印である。大人はわざわざ主張しないのだ。


これでいつものお気に入りの峠やサーキットまでの移動も快適である。


コックピット上部にはサーキットでは必需品のセッティングノートを入れるポケットまで入っている。A4サイズまで収納可能だ。

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走りを重視しながらも快適装備は充実している。少し大人びた上質なスポーツカーなのだ。
それでいて価格は抑えられている。世の多くの人に乗ってもらいたい。メーカーの企業努力の賜物だ。







130万でこんなモンスターマシンが手に入る。良い時代になったものだ。







街中で乗ってもすげぇマシンを操っているのだという気分を味わうのも良し、ワインディングやサーキットに持ち込んでエクストリームな世界を味わうもよし。これから上を目指す若者から、リターンドライバーまで心ゆくまで楽しめる。そんな1台である。




眺めてよし。走ってよし。

楽しみ方は貴方次第である。


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