ティルナノーグの錬金術師 -35ページ目

著・ヘンリー・ダーガー
 
世界一長い物語とも云われる長編小説で、15冊15000ページに300枚の挿絵まである巨大作品です。一般的な小説は400~700ページですからそれと比較するだけでも規模の大きさがお分かりになるかと思います。
異質で独特な小説は話題となり映画化もしました。日本でも展示会が催された事があるようですね。
 
著者であるヘンリー・ダーガーは小説家・画家と紹介される事が多いですが、本人はそのように名乗った事はありません。それ以前に彼は病院の清掃員であり、小説の執筆は単なる趣味だったので誰にも作品を見せたことは無かったそうです。
 
発見される物語
ヘンリー・ダーガーは家族が居なかった為、亡くなる直前にアパートの家主に頼み事をしていました。
『私の荷物は好きにしてくれ、全て焼却しても良い』
19歳から亡くなるまでの60年間、ひっそりと書き続けられたその小説はダーガーの死と共に処分される筈でした。
 
その後、部屋の片付けに訪れた家主であるネイサン・ラーナーはその膨大な創作物を発見し驚愕することになります。
ネイサン・ラーナーは芸術家でもあった為、その作品がどれほどのものであるか理解出来たのである。
この運命の出逢いによってあらゆるメディアで取り上げられ、ダーガーの作品は人の目に触れることになりました。
 
 
不思議な内容
平たく言えば少女達が大国と戦う愛と勇気の物語、ダーガー自身も物語に登場する。残酷なシーンや優しいシーンの差が執拗なまでに激しく、読み進めるのが辛くなる場面も処々あります。
そういった意味では原作の不思議の国のアリスに似ているかもしれません。
 
誰にも見せるつもりは無かったその小説には60年の想いが詰まっている気がしました。願望・欲望・希望など、そこには彼の心の全てが吐き出されているのだと思います。
『私の人生はとても寂しかった』
私が感じた、この作品に対する感想です。ダーガーに迫るドキュメンタリー映画があるように、作者がどういう人物なのか知りたくなってしまう、それほど独創的な内容です