ティルナノーグの錬金術師 -33ページ目

やはり気になるのがタイトルにある【彼の巡礼】
一般的に言われる巡礼(聖地巡り)とは意味合いが異なっています。
巷で話題になっていた名古屋の話よりも人間ドラマの色合いが濃いお話です、主人公の過去を清算する旅とでもいいましょうか。
 
まず読み終えた第一印象としては私の中に抱くあの村上春樹が居ないという事です。それは長年、物語を書き続けた人の熟練の技と見る事も出来るかもしれませんが、純粋に人としての老いを感じました。
ノルウェイの森・海辺のカフカ・ねじまきetc、数多くある人気作品に共通するあの勢いを感じる事は無いでしょう。寧ろ本作はその逆を行くように、回想シーンをモノクロで表現したような静かさがあります。
 
ただ、これを感じ取れるのも文豪の特徴なのかもしれず
かつての天才・山田風太郎のように初期~後期の作風の移ろいを感じるのも一つの楽しみ方かと思います。
そういう意味でも今後の作品に期待したいですね。