高校3年生の私は
2年前、行方不明になった
飼っていた猫の夢をよく見ていた。
楽しく一緒に遊んでいる夢で
それは、とても楽しい時間だった。
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そんな私は現実では病んでいた。
親に定められた進路
失恋、大親友との絶交、
孤独感を全て同時に味わい、
病んでいた。
学校に行きたくない。
家にもいたくない。
どこか遠いところへ••
そんなことばかりが頭をよぎる。
そんな時、私はある人と
SNSを通じて出会った。
名前はもう覚えていないし
聞いた記憶すら抜けているその人は
突然断言した。
「家の2階の左の空間に”何か”いるね」
この時、私は”何か”にではなく、
何故、※初対面のこの人が
(※SNS間のやり取りのみ)
自分の家の間取りを知っていたのか
それを考えた時一瞬ゾッとした。
しかし、続きの言葉で
すぐにピンときたのだ。
「黒い猫?その部屋の主に
よく懐いていたようだね」
その部屋の主とは私の兄のことだ。
2年前に行方不明となった
飼い猫は確かに
兄によく懐いていた。
「最近、この猫ちゃんに関わることで
何か特別なことはなかったかい?」
私はすかさず夢の話をした。
ある人が言うのには
死期を悟った猫は
ひっそり自宅を抜け出して
独りで死んでいったという。
死後、魂となった猫は
兄の部屋へと戻り
そっと家族の健康を祈っていたのだとか。
しかしそろそろ消えてしまうから
せめて最後にそこにいたという
事実を誰かに伝えたかったのだと。
そこで、私の夢に出てきたのだという。
それだけでは信じきれない私は
ある人に尋ねてみた。
家族の中に嫌いな人は
いなかったか、
その人はどんな特徴か、と。
すると、しばらく瞑想するなり
「嫌いな人はいなかったよ。
だけど、そうだね、
怖い人はいたんだ。」
と話しだす。
「その怖い人はボクに石を
投げたんだ。
ボクはとても痛かったから
走って逃げたんだ」
私は家族の中にそんな人は
いないはずだと考えるが
試しに母へ聞いてみることにした。
すると母はびっくりして
祖父が遊びに来たときに
野良猫が家に迷い込んだと思いこみ
1どだけ石を投げつけた事が
あったんだよ、と。
でもこの事は誰にも言ってないのに
何故それを知っているのか?と
逆に問われてしまったのだ。
私はある人が言っていることは
本当かもしれない、と信じた。
ある人は猫がもう行かなくては
いけないから最期に1つだけと
最期のメッセージを言い残した。
「ボクは君たちに育てられて幸せだった
もっと生きたかった
だけどもう行かなくてはいけない。
どうか、いつまでも健康に
たまにはボクのことを思い出してね」
それだけ言うと”何か”の気配が消えたきがした。
生きたかったけど
生きられなかった猫の言葉で
それまでの自分が軽々しく
考えていた愚かな思想に
夜が開けるまで涙した。
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ーーあれから8年。
私は仕事も安定し、友達も沢山でき、
結婚もして、子供もいる。
そんな今でも飼い猫のことは
鮮明に覚えているが
ある人とはあの日を境に
音信不通になってしまった。
私の人生に輝点を与えた事実だけが
私の心の中で生き続けている。
辛いことや苦しいことも
沢山経験してきたけれど
乗り越えるための輝点は
いづれも存在し、
そして今がある。
いつか、生きたかったあの子に
次に会えることが出来るなら
また沢山遊んで
楽しいひとときを過ごしたいな。
〜登場人物〜
私•••物語の主人公
猫•••主人公の元飼い猫
ある人•••SNSで出会った人
母•••主人公の母
兄•••主人公の兄
祖父•••主人公の祖父
*この物語は体験をもとにしたお話です