やっと晴れた

今日は
傘を干したり たたんだりしながら
ふと
傘が怖かった美仁
のこと…思い出した
まだ 美仁が子犬の頃…
その日
美仁は 少し体調を崩していて
近所の かかりつけの獣医サンに
診てもらおうと

動物病院に向かって 歩いていて

美仁は おりこうさんに
私の隣を歩いていただけ
吠えたわけでも
飛びかかったわけでもない
私も リードを短く持って
美仁を内側にして歩いていたし
なのに
向かいから歩いてきた おばあさんが
すれ違いざまに いきなり
「この
犬畜生めが
」と怒鳴り持っていた杖を振り上げて
美仁を打とうとした

とっさに 美仁を庇った私
だから
おばあさんの杖は 勢いで
私の肩を 強く打った
「痛いっ
何するのよっ
」私を打ってしまったことで
おばあさんは
さすがに まずいと思ったらしく
なにやら ブツブツ と 口ごもり
それでも ひとことも謝らずに
去ってしまい
私は
怒りは モチロン 収まらなかったけど
突然 打たれそうになって
すっかり怯えてしまった美仁が
心配で
「あんなヤツ
相手にするのは やめよう
」と
自分に言い聞かせて
怯えて ふるえている美仁を抱いて
病院へと向かったけれど…
あまりに悔しくて

獣医サンに
「今 そこで…」 と 報告しながら
思わず泣いてしまって



それから 美仁は
傘が
あの時の杖に見えてしまうらしく
杖や 傘を 持っている人を見ると
怖さのせいか
吠えるようになってしまって
知らない人だけでなく
大好きな人でも
傘を持っていると 近寄れなくなり
私が 傘を持つと
ブルブルふるえて 怯えてしまって
だから 私は しばらくの間
雨の日のお散歩には 傘を持たず
レインコートであるくようにして
美仁のトラウマが消えるには
数年の時間が かかったけれど

それでも
少しずつ 回復してくれて 良かった

ねぇ 美仁


美仁が大好きだった 雨の日の お散歩
時間が許せば
一緒に雨の中を走ったり
水たまりに パシャパシャと入ったり
楽しかったよね

美仁


また2人で 雨の中で遊びたいね
一緒に 雨に濡れて ハシャギたいね
