NPO法人日本アトピー協会設立30周年記念号が出ました。協会が設立されたのが平成7年で、同年にアトピーナウが発行されたとHPに記載されています。私は平成11年に浜松医科大学から和歌山県立医科大学に移りまして、爾来四半世紀近く協会のお世話になっております。
https://www.nihonatopy.join-us.jp/
平成7年頃と言うと、アトピー性皮膚炎の治療をめぐる混乱が続き、厚労省アトピー性皮膚炎治療ガイドラインの作成が進み平成11年に公開されました。しかし、マスメディアを通じた一部の間違ったアトピー性皮膚炎に対する認識が流布しており、我々皮膚科はその対応にずいぶん困ったものでした。そういう時に協会が正しい治療と啓発などを目的に設立されたのはまさにタイミングを得た素晴らしい出来事であったと思います。
アトピー性皮膚炎がある意味でビジネス商売になっていた時期とも重なるので、設立されたアトピー協会が一体どんな団体なのかと言う強い疑いの目を持っている医療関係者もいました。私自身は、当初、さほど積極的に関わった方ではなかったと思います。ところが平成11年に浜松医科大から和歌山県立医科大学の方に移りました。当時和歌山県はアレルギー不毛の地とまで言われたところでしたので、花粉症、アトピー性、鼻炎、喘息など啓発のシステムを作らざるを得ない状況になっておりました。その時に車の両輪として威力を発揮したのが、アトピー協会でありもう一つは日本アレルギー協会関西支部でした。前者で印刷物を通して、後者では市民公開講座などを行って啓発活動を行い、今でも続いております。
私が協会のお世話になったのは、かゆみの刺激を抑制する肌着を地元の繊維業界の方々と一緒になって開発したときでした。これに関してはまだまだ産官学のシステムが不完全で、患者さんへの貢献ということが十分にできなかったのです。けれども、ずいぶん協会さんの方でもPRしていただきました。
Kanehara S, Ohtani T, Uede K, Furukawa F.:
Clinical effects of undershirts coated with borage oil on children with atopic dermatitis: a double-blind, placebo-controlled clinical trial. J Dermatol 2007 Dec;34(12):811-5. doi: 10.1111/j.1346-8138.2007.00391.x.
Undershirts coated with borage oil alleviate the symptoms of atopic dermatitis in children. Eur J Dermatol. 2007 17(5):448-9. doi: 10.1684/ejd.2007.0250.
私は平成29年に和歌山医大を定年退職して高槻赤十字病院に移動いたしました。平成30年の大阪府北部地震、同年の台風、大雨、そしてその後のコロナ感染症の流行といった時々に、協会さんによる多くのバックアップは今となっては大変思い出深いものです。現在では、市民向けの院内健康講座に協賛を得ております。ありがたいことだと思っております。今後の継続した活動を通して、協会さんがますますご発展していただくことを祈っております。
下記から抜粋いたしました