最近の医療を取り巻く問題点としてしばしば取り上げられるのが、美容医療に進む若手医師の急増の問題です。内科あるいは外科に進む若い医師が少ないことの裏腹の関係としてもクローズアップされています。
一般的に美容医療とは、美容外科と美容皮膚科を言います。美容外科は観血的、美容皮膚は非観血的な施術を主とします。私は2000年ごろから、日本美容皮膚科学会(日美皮膚学会)の運営に関係しており、美容医療を取り巻く最近の情勢をいささか心配しています。
2023年12月26日に、日本医学会連合が「保険診療以外への大量流出」などを問題視しているという内容の要望書を厚生労働大臣に提出しています。その中に、特定の領域すなわち美容領域を名指して、医学部2つ分に相当するような多数の新規の医師採用があったと述べています。医師の地域偏在問題を修練中の医師の配置をもって解決しようとするどころか、ますます偏在化に拍車がかかることになります。このことが、大阪府病院協会理事会で取り上げられた時は、私はいささかショックを感じました。と言うのは従来ですと「特定の科」とか「ある科」とかぼかすのですが、直接名指しされるのは極めて稀だからです。裏返すと、若手医師とりわけ内科医の不足が喫緊の大問題となっているのです。
「美容医療を考える」の関係のブログは次の原稿を基にしています
古川福実: 論説 美容医療を考える、大阪府病院協会ニュース 648:4-5、2024
古川福実:美容医療を考える、浜松医科大学皮膚科学講座・木公会 会誌「MOKKO」2024年度版 (印刷中)