A 表皮、真皮、皮下脂肪や毛、汗、爪などが調和をとって成り立っています.特に、ケラチノサイトは分化という細胞の変身システムにより機能を増大させ生体防御の最前線にあります。図表は抜きました。(文責 古川福実)
表皮
皮膚の外層でわずか約0.2mmの厚さですが、強固な構造で生体を保護しています。主としてケラチノサイト(表皮角化細胞)が重なって配列していますが(重層扁平上皮)、枝を伸ばしたような形をしたメラノサイト(色素細胞)、ランゲルハンス細胞なども存在しています。
1) ケラチノサイト
角層:最上層に、板状の扁平な角質細胞が数層~十数層、密に重積しています。掌蹠ではきわめて厚く、分化の最終段階にあり、その細胞に核やその他の構造はありません。ケラチンという安定した線維性蛋白からできています。角層はやがて表層から少しずつ脱落していきますが(いわゆるアカとなってはがれます)、スキンバリア(後の項目)という重要な役割を担っています。
透明層:角層の厚い手掌・足底の角層の最下層にあります。
顆粒層:角層の下、有棘層の上に2-3層、ケラトヒアリン顆粒という顆粒を含んだ細胞が存在する。
有棘層:多角形の有棘細胞が数層~十数層、規則正しく積み重なっています。上層の細胞はやや扁平で、下層は立方形状です。細胞質に細かい線維トノフィラメントが密に縦横に張りめぐらされ、細胞間ではデスモゾームがあるため強固な構造となっています。このため,皮膚は繊細ですが大変たくましいのです。
基底層:表皮の最下層にあり、表皮はこの基底細胞が分裂して増殖します。
表皮のターンオーバー:ケラチノサイトが基底細胞層で分裂し剥げ落ちるまでの時間をいいます。正常では約45日と推定されますが、計算の仕方で28日説もあります。
2) メラノサイト
胎生期中に神経櫛から遊走して表皮に定着したもので、基底細胞数個ごとに1個存在します。
3) ランゲルハンス細胞
表皮細胞の3-4%で、アレルギー反応などに大変重要な役割を果たしていています。
4) メルケル細胞
基底細胞層に存在している触覚受容に関与する細胞です。
5)ケラチン線維
表皮細胞の主な成分で30種以上が知られています。
真皮
皮膚の大部分を占めています。乳頭層というでこぼこの構造で、表皮と真皮をつないでいます。また、膠原線維(真皮結合織の主体)と弾力線維(線維蛋白エラスチン)が縦横に走っていて、いわばコンクリート壁の鉄筋となっています。
皮下組織
膠原線維が壁をつくり、脂肪細胞の集合した分葉が大部分を占めています。この層に汗腺の腺体、毛球があり、血管も密に分布しています。
Q&Aで学ぶ美容皮膚科ハンドブックから主だったところを抜粋(この本はとっくに絶版となっていますが、3000部ぐらい売れたそうです。メディカルレビュー社 2010年)