折々のことば(鷲田清一)に多田富雄先生の一文 | FF残日録のブログ

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広島県出身。各地で皮膚科の医療に関係してきました。2017年から,高槻の病院に勤めてます。過去の文書や今の心のうちを,終活兼ねて記して行こうと思ってます。2023/1/8に、dermadreamからFF残日録のブログに名称変更。

折々のことば(鷲田清一)に多田富雄先生の一文

 

私が一歩を踏み出すとしたら、それは失われた私の足を借りて、何者かが歩き始めるのだ。(多田富雄)

 

最近の朝日新聞の折々のことば(鷲田清一)に多田富雄先生の一文が掲載されていました。多田先生の「寡黙なる巨人」からの採用です。

 

 

多田先生は、学問的に見ればサプレッサーT細胞の発見者で、お弟子さんと共にその遺伝子を決められました。その名もI-J(遺伝子)で、免疫学を少しかじっていた若い先生は私も含めて、JはJapanからつけたらしい、すごい!とまさに感嘆いたしました。業績に対して、1984年に文化功労者が授与されました。その年の秋、京都で第34回日本アレルギー学会(会長濱島義博京大名誉教授)が開催された折には、予定されていた特別講演の前に、サプライズのスライドを急遽作成してお祝いしたことを思い出します(私が実行委員長を務めていました)。

その後、I-J(遺伝子)の存在は結果的に否定され、制御性T細胞に取って代わられました。2001年頃、脳梗塞を発症し長い闘病生活に入られました。その間に、能に取り組まれ幾多の新作を発表されています。

1993年に表された「免疫の意味論」(青土社、1993年)は優れた啓発書で、浜松医科大の4年生の皮膚科試験を「夏休みに読んで感想文を書きなさい」としてレポートにいたしました。中には、面白いレポートがありました。もちろん、一括 全員合格でした。点数は長さで決めました。

 

 

https://www.asahi.com/articles/DA3S16085769.html