旅日記7
島を回るときは自分の波長に合う場所を決めるといい。
そこに一日数回戻ることで不安が取り除け、刻々と変化する地球を見ることができるから。
今回はこの場所に決めた。
そこには風化に耐えながら、少しずつ大地に飲み込まれていく鳥居と仏様が
均衡を保ちながら海を眺め、松が天に向かって立っている。
この島はいつか行きたいと思っていた『直島』
この島はアートと共存している。
ヨーロッパでは都市自体がアーティストとレジデンス契約をし、パトロンとなる。
そして、アーティストは作品を世界に発信することで彼らのパトロンである都市は
知名度があがり、観光客が増え、都市が潤うのである。
これは日本にはないアートマネージメントである。
しかし、その代償として都市から古の香りは少なからず消えていく。
直島は日本的であり、最先端のアートマネージメントをしていると思う。
まずは地域とアートの共存である。
家プロジェクトと題し、古民家を現代美術作家と共同で再生しようという試みをしている。
それには地域の理解が必要である。地域の理解を得るには地域の伝統と生活を守らなくてはいけない。
島がアートに活性化されて、観光客が増えれば、
島が潤おう代わりに環境破壊、島人の生活に影響を及ぼすのは絶対である。
しかし、直島は全ての美術館やギャラリーの開館時間が4時半と決まっているため
夜は昔と変わらない島の顔へと戻ることができる。
一時の人気ではなく、細く長くアートとの共存が出来る様に作られている。