本当に彼が死んだのかは確認してない。おれたちが出た後に、逃げたかもしれない。
でも、多分・・・いや絶対あの炎の中にいるんだろうな。心にも体にも痛みを感じずに逝けたらと願う。
勝手だけど・・・
しばらくおれたちは、炎を眺めていた。
「さぁ。帰るか」
あっけあらかんと言うと、大野さんが炎を背に歩き出した。
おれもついていく。
左右それぞれから、車の後部座席に乗り込む。
ドアを同時に閉める音が響く。
誰も口をひらかないまま発車する。
やっと、呼吸できた気がした。
体が重かった。どこまでもシートに体が沈んでいく。
おれだけが、こうして生きているのが、許されることなのかどうかわからない。なんで、LODOEが相葉さんを知っていたのか。記憶が残っていたのか。じいちゃんはいないし、多分大野さんたちにもわからないし、知ることはできない。
おれは、相葉さんのために。
3人はなんでだろう。多分、この研究がどこか間違ってるって思ったんだろうね。
おれたちがしたことは、きっと一生重くのしかかる。
ごめんね。相葉さん。
でも、おれがずっと相葉さんの隣にいるからさ。
こんな汚れた世界でもさ、きっと明日も空も海も蒼いよね。
おれらの未来もきっとさ、地平線のように長く続くよ。
おれは、君を守るために、隣を歩くよ。
今から帰るからさ、待っててよ。
相葉さん
前から、だんだんと空が白んできて、周りの景色も見えてくる。
おれらは、先の見えない真っ暗闇の中にいるわけじゃないんだ。
終