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新・認可地縁団体の事務の手引き

今年から認可地縁団体の事務を担当することになりましたが,疑問がたくさんあります。
これらの疑問を1つ1つ紐解いて,事務を整理したいと思います。

第260条の31 解散した認可地縁団体の財産は,規約で指定した者に帰属する。
2 規約で権利の帰属すべき者を指定せず,又はその者を指定する方法を定めなかつたときは,代表者は,市町村長の認可を得て,その認可地縁団体の目的に類似する目的のために,その財産を処分することができる。ただし,総会の決議を経なければならない。
3 前2項の規定により処分されない財産は,市町村に帰属する。

この規定は,自治体にとってかなり危険です。

そもそも,自治会が不動産を保有する必要があるのでしょうか。
例えば,駐車場やソーラーパネルの設置場所など,第3者に貸付することで自治会に収益をもたらすような不動産であれば,保有する意味はあるでしょう。
ですが,「自治会の集会所」や「ゴミステーション」として利用する不動産であれば,正直「所有はしたくない」というのが自治会の本音ではないでしょうか。

それぞれの自治体の方針にもよりますが,うちでは,過去に住民の自宅等を「自治会の集会所」として寄付を受けているケースがあります(現在はそのような寄付は受けていません)。このような物件は,その自治会に普通財産として貸付をしています。

この場合の貸付料は減免しており,これは特異な例かと思っていましたが,大阪市の「行政財産使用許可等・普通財産貸付けをする場合の減免基準」の「相手方・指定用途区分別減免率基準表」でも,自治会への集会所としての貸付は100%減免となっていますし,その他のいくつかの自治体の規定を見ても,自治会に集会所として貸し付ける場合は100%減免としているものが見受けられますので,ある程度一般的ではあるのだと思います。
であれば,自治会としては「自治会の集会所などの不動産を自治体に寄付し,貸付をしてもらう」という形でも特に問題はないわけです。

ところが,自治体としては,寄付を受けたところでその自治会の集会所やゴミステーション等としてしか利用できないわけですから,あまり良いことはありません。
行政財産とするのは少々無理があるように思うので普通財産にせざるを得ないと思いますが,普通財産だからと言って,自治会が集会所として活用している不動産を未利用地として売却することはできないでしょう。
つまるところ,自治体としてもそういう不動産は持ちたくないのが本音だと思います。

認可地縁団体は不動産を所有するために認可を受けた団体ですから,ほとんどの場合,何かしらの不動産を所有していることになります。そういう団体が解散した場合,「その認可地縁団体の目的に類似する目的のために,その財産を処分することができる」わけですが,類似する目的を持つ団体が法人格を有していない場合は,譲渡しようにも譲渡のしようがありません。
となると,第3項の規定により,帰属先は自治体です。


…ね。危険ですよね。