今回の【ツクラーの部屋】は、ホラーゲーム制作者として名を馳せる
「ディープすき焼き」さんの回だった。

ボクもホラー好きだよ~u・∞・uなどと思いながら
視聴していたため放送内容に触れつつ
ホラーあれこれを語って行こうと思うので、
是非お先にご視聴を。

そしてホラー苦手は動画も今記事もご注意を。

■ディープすき焼きさんといえば【でんでらの】
実際にある場所で、遠野物語などの民俗学で知られる
杭が1本だけ立った田舎らしい広い土地。

ゲーム内容と実際の場所は特に関連するわけでなく
「見捨てられた土地」といった意味合いで
本作内では使われていたように思う。

それよりも、この作品を表すのは冒頭だ。
父親が、女の子を捨てに来る。
時は天保の大飢饉ーー
実際の歴史の中で、親が子供を殺して食べたという
安達ケ原の鬼婆なども、飢饉が原因だった。

それを思えば、寡黙に子供を捨てに来た父親は
我が子を殺す選択をしなかっただけ優しさとも言えるが
棄てられた子は、餓死か、山犬にでも屠られる。

この時代に限らず日本には
「口減らし」として生まれ過ぎた子供を
間引くという事や、「貰い子屋」という商売まであった。
親が金を払って子供を引き取ってもらうのだが
大半は口に濡れ布などを当てられ「間引かれて」しまった。
そういった背景も感じさせる。

ゲーム内で少女は父親に懐いている。
かくれんぼで遊んで貰った隙に父は消える。
雪山に独り少女は残され物語が始まるのだが
この少女は、作中で村祭りで髪飾りを父親に
買って貰った記憶なども語る。
けして愛がなかったわけでなく、
村にも平和な時があったのだ。

けれど少女はでんでらのに棄てられ、妖怪屋敷の1員と
成り果てていく。

日本の歴史的背景と、因習、生まれし無明。
鮮烈な和風ホラーでゲームシステムも一級品だった。

民俗学というのはいわば人が語り継ぐ伝承の
「怖い話」で警告的意味合いも含む。
「そうならぬように備えよ」といった一面もあり
それがまた人に恐怖心をもたらす。

津波の時は1本松に逃げろ、高台に木が残っているのは
かつての津波を乗り切ったからだ
けして戻るな、戻れば死ぬ
家族はみんなバラバラに逃げろ

などは有名なもので、バラバラに逃げる理由は
「血を残す」確率を上げるためだ。
災害時、どこが安全かなど予測不能なため
「誰か生き延びろ、それで家の血は絶えずに済む」が
日本の考え方であり、今なお語り継がれている。

すき焼き氏の作品には【ほぎげぇ、でばっしょ】
などもあるが、このタイトリングセンスは
岩井志麻子氏のホラー小説「ぼっけぇきょうてぇ」が思い出される。
岩井氏の小説は読了済だが、かつての村社会における女性の扱いと
生々しい恐怖、そして妖怪的怪異的な恐怖が綴られており
実に日本的だった。

方言や「地方」というものへの恐怖は
最近ヒットした背筋氏の小説「近畿地方のある場所について」
などにもタイトルから見受けられる。
このタイトルが人を引き付ける根底に
人の、まだ残された因習を覗きたいという欲求が感じられる。

ハンドルセンスから雨穴さんも思い浮かぶ。
「変な家」でお馴染みの雨穴さんのYouTube
ホラーシリーズも好きだ。

地方ホラーというのは、都会とは違った
「今だ残る場所」には何かがひっそり息づいていそう、
という、読者の感情や願いがありそうだという
ひとつの見方が出来る。

半面、「都市伝説」というジャンルでは
「都会ならでは」が多く含まれる。
世界一の人口密集都市東京は人が生む恐怖が蔓延する。

今回ツクラーの部屋で語られたすき焼き氏の「創作ホラー」
も、都会の分譲マンションを舞台にしていた。
暗い田舎の路地でなくとも、都会のビルには
直角に折れ曲がった死角が出来る。

話は戦時中に及ぶわけだが、都市伝説にも似たものがある

猫よけペットボトルをご存じだろうか?
猫よけにまったく効果がなさそうなのも思い出して欲しい
だが、これは街中に溢れている。

あれは実は「幽霊よけ」だという都市伝説がある。
それは第二次大戦中、東京大空襲の際
焼け野原と化した東京に、黒焦げになりなお死ねず彷徨う
人々が、水を求めた。川は死体で溢れ
重度の火傷の人間は水を求めるが飲むとショック死してしまう。
それでも人は水を求め彷徨う。

なぜ、ペットボトルに入れ、陽に曝すのか?
これは水を「腐らせる」ためだという。

仏壇に供える水は毎日取り換えよと言うが
これは仏に不浄な水など捧げてはいけないからだ。

だがーー黒焦げで彷徨う幽霊たちには腐った水を捧げるという。
彼らはこれを飲み、苦しみ、そこから離れるという。
人怖話だが、もはや善意で成仏できないほど
魂の傷ついた霊に、生きた人間が苦しめられぬための護法だというのだ。

都市伝説にされてしまった実際の事件の裏側では
人が人らしくあった事が削られて、ただの恐い話に
されているものもあり、日本のマリーセレスト号と
言われた漁船(名称調べられず似たものは八丈島幽霊船、
ボクの記憶にあるのは○○丸)では、乗組員が全員
消えていたそうで幽霊船話にされている。

 

※追記 三々梨弥生さんからの情報提供により

「良栄丸」と判明。情報提供ありがとうございました!!

実際の海難事故です。誰も乗っていなかった事で

都市伝説になり、その後船員さんたちの遭難状況などが報じられました。

だが、船の日誌には最後まで
海の神金毘羅への敬虔な祈りが綴られ、冷静な遭難状況が
記されていたという。だが、シケにあったなら
全員が海に落ちて、助けようとした者も海の藻屑に…
という事は、充分考えられるそうだ。
そして船だけが残った。

なお「タチモリ」というのが

ドラクエ3に出てくる幽霊船の元ネタではないかと思われるので
ついでに記して置く。日本の幽霊船の話だ。

船の話を続けると有名なタイタニックの都市伝説に
モーガン・ロバートソン氏の「徒労」がある。
タイタニックは、4月サザンプトン港から出港
乗客約3000、氷山にぶつかり沈没ーーというのがスペックだ。

だがこれより14年前に書かれた小説「徒労」で沈む豪華客船も
同じセンテンスが登場し予言書と言われた。
そもそも初の大型豪華客船がタイタニックだったのに
建造より遥か前にこの小説は執筆されていたわけだ。

しかしのちに、後から話題作りの為改稿されたという説もある。

さらにとある小舟の話、夜中、甲板で見張りをしていた
若い水夫が真っ暗な中、ふと恐怖に駆られ船を全速後退させた。
その時、船は氷山から数メートルのところだったという。
船の名前はタイタニアンーー

綺麗な話だが、ご存じの通り先ごろ観光用潜水艇が
水圧で圧壊した。その船の名前はタイタンだった。

話の方向性を戻すと、都市伝説には「実際に起きた事が
半分混ざっている」という特徴があるようだ。
すき焼き氏の愛するであろう民俗学も、実際の歴史背景などが
織りなす中での「事実」が醸す恐怖が伝わってくる。

赤マント・青マントの都市伝説をご存じだろうか?
トイレに入っていると赤マントが欲しいか青マントが欲しいか
尋ねる声が聴こえる。赤と答えれば血まみれで死に
青と答えれば血を抜かれ青ざめて死ぬ。

いかにもトイレの花子さんの派生的な
子供向けのホラー話である。

だがーー実在の青マントをご存じだろうか?
時は大正の頃、商家に吹雪の夜だと云うのに人が訪ねて来た。
「ご本家様が病気になった、家族を呼びに来た」
曽祖父が病になったからと遥々呼びに来たと云う。
商家に丁稚奉公に来ていた家族が呼ばれて出て行く。
吹雪だからと渋った嫁も、後でまた呼ばれて出て行く
それでも子供だからと残されていた娘がいたが
ついにその幼い娘も呼びに戻ってくる。

その男は青い外套(マント、毛布のようなものだったらしい)
に身を包んでいる。
あまりにもしつこく、何かおかしいと感じた商家は
娘を守った。翌朝ーー警察が出動する事態となる。

近くの橋は、複数の大人のものと見られる大量の血溜まりができ
出て行った者は、死体も見つからず「青マント」も消えていた。
この不可解な事件は時の「官報」(警察の事件記録)に
記されており、実際の事件だ。

場所は橋であり川なので、舟で逃げたと推測されるが
残されていた舟には血が少なく死体もついぞ見つからなかったそうだ。

このように実際の事件と符合するものが
語り継がれる内、肥大化されたり削られるのが都市伝説と言える。

こんな事実もある。
「マンデラ効果」というものがあり
ネルソンマンデラ氏は死んだはずなのに記憶が合わない、と
するもので、大多数の人間が「記憶違い」を起こす現象を指す。
ちなみにボクも都道府県は「48」と記憶しているが
これは学校の教師がマンデラ効果だったのだろうと推測しておく。
んもうu・∞・u

さて、この48都道府県説、「ならあと1個の県の名は?」
これを大勢の人間が「岡崎県」と答えるそうだ。
なお岡崎「市」は愛知にあるので、愛知県民のボクは
そうは答えない。だがーー
実は明治時代に、2年間だけ岡崎県は存在したそうだ。
廃藩置県の際に起きた出来事らしい。
ほとんど情報がないが1件だけ昔、この情報がヒットした。

ネットタトゥーなどというが
情報が多過ぎて、出て来なくなる情報も多い。
先ほどの日本の幽霊船「なんとか丸」も詳細不明となってしまった。
なおボクのホラー知識の多くはネットからのものも多く
検索してはいけない言葉などもだいたい踏んでいる。

都市伝説の有名どころ「コトリバコ」や「巨頭オ」
近年の創作第二次ラブクラフトと言えるSCPなど
少しはたしなんでいるぞぅ。u・∞・u

コトリバコやリング的ホラーゲームに「呪染」シリーズが
あるが、こちらはより現代的なツクトリ制ホラー作品なので
ホラー好きはあわせてどうぞ。PCで初代「呪染」も
リメイク中でそろそろ公開だとのことだ。

映画「リング」はここにきてなお貞子がコトブキヤから
美少女フィギュア化される人気ぶりだ。
呪いの伝染、とはよく定義したものだ。

なおここで「原枝恚子さん怪死事件」というものも
ホラーゲームとして記録紹介しておく。
ご興味のある方は検索して見てね。

さてリングの元になったとみられるホラー作品に
TV局に送りつけられたビデオテープの映像を元に
送り主を探す、探させられている事に気づく
ホラーVHS作品があったのだが、こちらもタイトルがもう
出てこない。テープの映像から紐解く経緯は
ミステリ的で、自分たちが今走っている道が
映り、映っている倉庫にたどり着く、という前後の狂う様な
体験が人に不気味さを招くという主眼点が突かれていて面白い。

市販ゲー「paratopic」も思い出した。
海外評価の高いゲームだが日本人もどうぞ。
わけわからんかった人はボクが考察してるブログが
あるのでそっちも呼んでね♡(ダイマ

すき焼き氏が、ツクラーの部屋で日本の恐怖と海外的恐怖の
違いに言及し、Shin氏と熱く語っていたが
リングにはアメリカ版が存在し、違いが比較できるので
こちらも是非どうぞ。

なお一般的な洋画ホラーに
「骨(ゾンビ)に抱きつかれて叫ぶ女性」
という表紙絵が見受けられるがこれに対し
リングの印象的だろうシーンのひとつに
骨を抱き「ここだったの…」と
母でもない女性が涙を流すシーンがある。
死体への情愛、死者への弔い、想いの共有、他者への母性
それは日本的なモノで海外では理解はされにくいが
評価を受けた一因にはそのシーンの功績もあるのだろう。

それを潰すラストは鮮烈でむしろ海外的だった。

日本的な和の屋敷の鏡のシーン
交霊術の批判をされるシーンはとても日本的な恐怖だと感じる。

ボクの個人的意見だが、邦画全般に、子供に人権がなく
喋らせず、大人が怒鳴りつけるような描写が多いと感じるが
リングアメリカ版では、子供に離婚理由をキチンと説明しているし
子供も「難しい問題だね」とドライに返す。
そういった違いも顕著だと思う。

個人的には海外物の方が好きだが「恐怖」なら
日本の生理的恐怖は圧倒的だろう。

少しーー重い話として
死体に関する考え方の違いもある。有名な航空機墜落事故
御巣鷹山123便にて、日本人遺族は指のカケラまですべて集めるよう
航空機会社の人間に要求したという。
時は夏。腐っていく死体のカケラを職員は回収し続け
帰っていく遺族も多い中、残った遺族と
派遣された社員は事故現場のプレハブで
長い時間を共有した様だ。感謝を伝える遺族もいた。

それは死体の一部でも回収し損ねたら浮かばれない
可哀想である、とする日本の情愛の形だが
アメリカの9.11テロでは
グラウンドゼロ(爆心地)に慰霊碑を建てる形になった。
全遺体を回収などはせず、苦渋の選択もあったろうが
その場を埋めて墓にしてしまうという選択をした。

アメリカの場合は、キリスト教的には
魂が天国に行けるかが重要で身体はさして
といったところがある。あくまで日本人の感覚に比べればだが。

日本でも実は中国の道教から伝わった魂魄(こんばく)
という考えが残る地方があり、魂と身体は別物で
身体は棄てるように土葬されるが、魂は祀る、そうだ。

骨壺から骨の粉を食べるほどの愛というものもあるが
遺体を愛おしいと思うかは日本でも個人差が大きい様だ。

すき焼き氏はカクヨムのホラー小説賞も受賞されたそうだが
こちらも「単に恐いモノではダメ」という縛りがあったようだ。
どうやら地方色を出す事などが要求されたようだが、
もうひとついうなら「感動」など、恐怖以外の物も
求められたのではないだろうか?
ゲームテーマにもよくあるが「幽霊と過ごす〇日」のように
やがて別れがくる事がわかっているテーマ性は多く
リングも感動的な骨を抱くシーンがあるかないかの差は
大きかったのではないだろうか。(のちに突き落とす意味でも。

こういった「情」を理解する感覚がきっとホラー作りには
重要になってくるのではないかと愚考する、ぞぅu・∞・u

ホラーの捉え方も人それぞれで、検索してはいけない言葉も
そうだが、単なるエログロや不快なものをホラーとする
向きもある。
これらの感性の違いはホラーゲームの受け取り方にも
関わって来るので制作者はおさえておきたいところだ。

ホラーというよりはいたたまれない、人生を詰んでる人には
痛すぎるであろう18禁作品「さよならを教えて」なども
ニコ動では笑いが起きていた。
見る者の年齢や状況によってはホラーは笑いらしい。
「沙耶の唄」も同様にwの渦だった。
なのでホラー制作者は笑われても気にすんなu・∞・u

完全ホラー作品となると「サイレントヒル」が1999年
その後2007年に映画「ミスト」が制作されており
かなり影響を受けたのではないかと思われるが
どっちも楽しめばいい。
「サイレントヒルズ」のプレイアブルトレーラーとして
制作されたため「P.T」と呼称される開発中止になってしまった
ホラゲがあるが、最高のグラフィックで、家の中を巡るだけ
という内容も近年流行った「8番出口」的で現代でも
確実に通用する特上のホラーだった。

やはりホラーを作るならUE5でべらぼうにリアルなものを
作りたいし、作らないとPC界では生きてゆけないだろうかu´∞u?
と、悩んでいたところ、ホラーではないがボクの作品の
【ちび焦げ心臓、旅をした】をすき焼き氏に今回褒めていただき
かつ、氏の【フィラパンドラ】がプレーヤーとして
興味惹かれる「やってみたいもの」である事実に
「まだ2Dは闘える!u・∞・u」と勇気を戴けた気がする。感謝。

後は「見た事のない世界」としてSFが世界として
選ばれたとのことだが、

SFとついでに笑いの親和性がホラーは高いと思っていて
ホラーマンガの大家、楳図かずお氏の「14歳」は
「これから起きるかもしれない未来」の恐怖が描かれる。
荒唐無稽なようで、「最後の植物はサボテン」や
「ある日突然酸素がなくなる」などは実は
地球温暖化が進むと、起こると言われる現実だ。
あれはSFと荒唐無稽を絶妙に合わせ皮肉と感動を加えた
傑作だ。

すき焼き氏も、笑いを作ったり
パニック映画のジャンルであるサメ映画をホラゲに
落とし込む新しいチャレンジをしていて
ホラーに限らず作品には「驚き」が必要な事を
教えてくれる。そしてそれはマンガでも
デジタルゲームでも可能と示された。

ツクール作品二次創作にもめっちゃ期待しています。
元作品やりたくなるから界隈が2倍盛り上がるね!

さておき3Dのよさについて語るなら
近年の流行りの共通点は
「旅行感」にあるのでは?と踏んでいる。
手軽にゲームで、リアルに、
その場の空気を味わいたい。
出来れば、非日常をーー
その想いが生んだのが「The Backrooms 」や「POOLS」
だろう。後者は完全なリミナルスペースを産み
ラストは考察させる余地で締めた。

人は美術館に行っては見たいが、
行くまでの苦労とチケットを買って入る手間と
他人がうじゃうじゃいる苦痛と
何時間も好きなだけいていいわけではない不自由さを嫌い
全部解決するゲームに旅をする。

こちら(制作者側)としてもモブを配さなくていいのはラクだ。
ウィンウィンと言えるだろう。

しかし2Dでそれが出来るだろうか?と思っていたが
【ちび焦げ】とついでに【殺NY】がコンテストなどで褒められたのは
「見知らぬ場所への旅感」があったからだと
あらためて思っておくことにする。
他人の褒め言葉は認知の歪みを正してくれるね!>∞・

2Dホラゲを作るなら
エバーテイルや最近出た怪異捜査乙女ゲーの
広告のパクリ元と思われる(違うかもしれないが)
「FAITH: The Unholy Trinity」のごとく線画で作りたい。

2Dレトロだが大好きだ。

トリニティと入っているのもなにやらツクトリ民との縁を感じる。
最近、日本語ローカライズが来たそうだ。

そして求められる恐怖はより、不穏なものへの旅だ。
戻って来れない事もままある世界を垣間見たいという
その感情を満たせればとりまホラゲは成功と言えるだろう。

鬼ごっこや、探索は今日日必要ないところが
ただ歩くだけのゲームヒットから偲ばれる。

すき焼き氏は新しいモノに挑戦し続けている。
新たなホラージャンルの大ヒット作に期待したい。u・∞・u