任天堂をとりまく変化
さっき、ざーっと昔に作ったサイトの残骸なんかを見てきたのですがなかなか恥ずかしいものです。思えば、私の20年ちょいは、経済の大きな変動の時代でありながら任天堂が世に出て、その首位を奪われるといった変動の時代でありました。すなわち、「バブル」から、「失われた10年」という変化に沿うようにして「ファミコンの登場」から、「任天堂ハードの低迷」という変化が起こったと思うのです。誰もが資産に余裕を持つ時代には、「エレクトロニクスでの娯楽」というやや高級な分野に、消費者もビジネスも傾倒することができたのです。ファミコンとはそういうものだったのでしょう。任天堂の姿勢は、ほとんど変わっていません。今も無借金経営だし、遊びに対する考え方も、そうです。経営体制がやや変わって、少し組織が大きくなったということがありますが、ごく微小な変化でしょう。しかし、時代は変わったのです。デフレ経済下では、高級な娯楽よりは、安価で確実な娯楽が求められるはずですからここに、ROMカートリッジ問題やロイヤリティ問題が関係すると思うのです。ゲームソフト単価を下げるための努力をソニーはしたと思います。当然、新規参入なので、価格競争で勝つことを考えるのは普通です。山内氏は、「面白いものを作ればユーザーはついてくる」旨のことを言っていましたがそれはすなわち、資産に余裕のある時代の話。ゲームソフトはじめコンテンツ産業の特徴の一つに、プレイしないと面白いかどうかわからないことが挙げられます。これは、すなわち、安価でないと少ししか売れないから面白いことが分かる人がいないことを意味するはずです。クチコミなどで広がるためには、多くのユーザーがプレイすることが必要ですから結局のところ、面白くてもゲームは売れなくなる。だって、外見が同じように見えるもので、例えばRPGとRPGと比べて一方が(面白い)RPGでもう一方が(普通の)RPGだとしても、それはわからない。安価な方は比較的プレイヤーが多いはずなので、(普通の)RPGが安価ならそっちの内容ばかりが周囲に伝わる。二者択一で比較対象がなければそれは面白いRPGになるんじゃないでしょうか。もちろんブランドで固められたゲームに価格はあまり関係ないです。例えばマリオカートなんかは、ハードが64でもまぁまぁ売れたし。だけど、無名のサードパーティ製のは、圧倒的にコケたはずです。64のサードパーティは多くが、新参者でしたし。あれは、64への参入をいくつかのメーカーが躊躇したからでしょう。原因はこういうことだけじゃないんですが、経済変化に合わせて考えた場合任天堂が首位を奪還された要因はこういうことに見出せるはずです。変化に対応できなかった、そういう大手電機メーカーなどは、経営の再設計を余儀なくされました。任天堂は、財務的に優良なので、表面化はしませんでしたが変化に対応しきれなかった会社の一つとして挙げられると考えていいはずです。現在の経営陣のいいところは、変化への対応力を持っていることです。悪く言えば、古くからの良き伝統を失いつつあることにもなるのですが、前者の言い方では、経営の方向性に関して柔軟性を持っていて将来性があり、後者の言い方では、コンテンツにおいて他社との差別化を図りにくくなっています。任天堂が首位に返り咲くことがあるのか。これは、今動き出した任天堂の10年ほど先にやっと結果として現れるのだと思います。