森田療法のすべてがわかる本(北西憲二)






絵と図と簡潔な文章でとても分かりやすい本だった!


1・森田療法とは何か】

森田正馬(精神医学者) 1874年(明治7年)生まれ。幼い頃から神経症に悩んでいたことから精神医学を志す。


悩みの背後には不安がある(この不安をケアしない限り根本的な解決にはならない)


西洋生まれの精神療法は、不安を生み出している原因を知り、それを意識することを重視。不安などの不快な感情はコントロールできると考えている

精神分析療法原因を突き止めて意識化させる

認知療法考え方の歪みを修正する

行動療法間違った行動パターンを修正する

不安の原因探しに一生懸命

(自分のどこが駄目だったのかに向き合うなんてしんどすぎて無理!ってなっちゃう。)





森田療法の根底には東洋的な考え方がある

不安を感じるのは自然なことであり、自然に反したとき悩みが深まっていくのだという考え方。

自然な感情である不安をコントロールしようとするから悪循環が始まり悩みを深めていく。

原因の追求は過去にとらわれて苦悩を深めるだけになってしまうこともある。



心も体も自然の一部で通じ合うものと考える。(心身一元論)

原因を探すのではなく、緊張や不安失敗などの不快な感情や体験を自然なものとして受け入れる。ありのままの自分の心を見つめ受け入れ、日々の生活でできることをこなしていく。


人生の危機に対する処方箋になる考え方であると言える。

こうしなくてはいけないと言う思いが強ければ強いほど人生は行き詰まりやすく危機的状況から抜け出しにくくなってしまう。

できない事はできないと、切り離す。

無理を捨てたときに自分が本当にしたい事は何か、本来の自分らしさが見えてくる。



物事を完全にやり遂げたいと言う思いが強い人は、〇〇でなければならないという思いにとらわれていることが多い。

心の流転(見聞きするものや外界の変化によって私たちの感情は千変万化に反応するもの)何事にもとらわれない、「心の流転」を体得した時とらわれから解放される。



2・人はなぜ悩むのか】

悩みのメカニズム

変化、環境に対応できないことから悩みは生まれる。うまくいかないときどうするかでその後の心の状態は変わる。

対応の失敗を必要以上に重くうけとめてしまう苦しみにつながっていく。

心身に起こる不快な現象は、気にすればするほど強まっていく。(精神交互作用)

こうした症状を取り除きたいと思うあまり、かえって症状にとらわれてしまう。



悩む人の性格特徴

自分の中の妬みや怒りを認めたくない(感情は自然に生じるもの。不快な感情を取り除こうとするほど強まる)

「かくあるべき」(理想の自分)と「かくある」(現実の自分の姿)自分の葛藤が激しい。

理想像にとらわれてしまう他のことがみえなくなってしまう。

自分を愛せず他人の評価に依存してしまう。認められ賞賛されたい。愛されたい(他者の評価に依存)(人から賞賛されることにとらわれている)ありのままの自分を受け入れ、自分らしく生きていると実感できるとき、人は自分を愛することができる。


悩む人の行動

気分の良し悪しで行動判断してしまう。

不快な気分にとらわれ、憂鬱な気分が続いているから駄目だとおもいこんでしまう。気分は優れなくても、自分のしたこと、できたことを評価していくことでとらわれから抜け出すことができる。


不安や恐怖から逃れようとすればするほど余計に不安や恐怖に囚われ身動きが取れなくなってしまう。


感情の法則

1.放っておけば消えていく

2.衝動を満たせば消失する

3.慣れることでやわらぐ

4.注意を向けると強くなる

5.体験が豊かな感情を育む



3.治療の原則は事実を知ること】

自分の陥っている悪循環を知る悪循環が症状をつくる


不安の裏には「よりよく生きたいという欲望」が、面裏一体で、ある。

悩みを取り除くのではなく、受け入れる。

恐怖不安があっても行動する。行動を重ねることで、恐怖や不安は去っていく


できることと、できないことを知る

3つのできないこと

1.自分の感情をコントロールすること

2.現実を思い通りにすること

3.ほかの人の気持ちを思い通りにすること。


3つのできること

1.自分の限界を知ること

2.不快な感情を受け入れること

3.目の前の現実のなかでやるべきことをする



無力感が生まれる仕組み

できないことやろうとするできない無力感、できない自分を責める。もがけばもがくほど落下していく


どう頑張ってもできないことは、ある。ということを認める。それはそのままにしておく(そのまま放っておく。)今できることをする。(できないことを投げやりに諦めるとか見て見ぬ振りをするとかいうことでは無い。)できないことを認識して、受け入れる、ということ。


恐怖や不安は打ち消しようがないが、自分の行動は自分の意思で変えられる。目の前のやるべきことを淡々とやっていくと、不安な気持ちは自然と変化していく。





反応、再生、適応の3つの回復プロセスを知る。(心身の自然回復力を引き出す)

[体の傷が自然に治るように、心の傷も自然に治る力がある]

自然治癒力を引き出す方法

自分が何にとらわれているのかを知る

自分がこだわっていることがどうにもできないことを認識し、できない自分を受け入れる悪循環から抜けられ回復への歩みがはじまる。


治療のゴールは、「あるがまま」の自分。

あるがままの自然な姿が自然治癒力を引き出す。


ポイントは、

1.自分にできること、できないことを知る

2.心を操作しない(そのままを感じる)

3.待つ(今自分ができることをしながら自然に任せ待つ)



4.いろいろな治療方法がある】

受診、入院、自助グループ


5.森田療法で不安とうつを治す】