隣る人隣る人
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隣る人(菅原哲男)(岩崎まり子)


「人は生まれる場所を選べない。では、生まれてきたこと自体が悲しい場合、その人物はどうしたら良いのか。」


これ、ジョジョの5部のテーマなんだけど、丁度読んでいた本は、現実に親と一緒に暮らせなくなったこどもたちについての本。

 




埼玉にある児童養護施設の理事長さんと保育士さんの本。この施設のドキュメンタリー録画(映画?)見に八王子に行った。ここの施設では担当制で、保育士が親代わりで小さいグループで生活している。


色々なケースがあるにしても、親に要らない、育てられないと投げ出されたり、虐待を受けたりしたこどもたち。


育てられないなら産むなよと怒りが込み上げてくる。



どんなあなたも丸ごと愛しているということをあらゆる手段で子に伝え愛情を育んでいく親のしごと。それを代わりにしている。

大変な仕事だ。



乳幼児期にそれをしてもらえなかったこどもたちは自己肯定感が無いし情緒も安定しない。そんな子たちを受け入れて、毎日毎日、可愛い、好きよ、と伝えていく。責任も重い。





措置する機関と、預かる施設の連携というのもまたややこしく、無駄だらけ。

母親との面会や一時帰宅、そのタイミングの難しさ。



ドキュメンタリーのなかで、一時帰宅した子が自分に懐かない(思い通りの反応態度をしてくれない)と、パニック発作をおこしたりしている母親。


出所後、家族と暮らさずにひとりだちせざるを得ない子も心配。今の日本の制度では、こういう子たちへのその後のサポートは、ほとんど無い。子どものうちは面倒見るけど、おとなになった途端自分でなんとかしなさい、と社会に投げ出される。この施設では、その後のサポートもしていて、面倒見る子どもは増える一方になるし、正直、負担は相当だろう。



それにしても、この、岩崎保育士は、慈愛の人だなあ、と思う。もの凄く謙虚!!素敵な人だな。


しごとだからとか、やってあげるとか、愛してあげてるなんてのでは勿論絶対なくて、ただ、その子をまるごと全部受け入れる。

その難しさをほんとうに知っているんだろう。


この人に出会えた子どもたちは、良かったねえ、と、思うけど。







色々思ってしんどい読書だった。

児童養護施設で実習したのを思い出す。自閉症で手を顔の前でひらひらさせていたあの子は、どうなったかな。20年以上前のこと。名前、覚えてる。