の続きです。
○過敏で暴走しやすい思春期があるのは人間だけ。
記憶の中枢である海馬は、思春期には感情爆発を引き起こす性ホルモンの作用で,神経細胞同士のつながりが増え、記憶できる容量が増大し,記憶力を劇的に高める。さらに感情爆発を引き起こすへんとう体は、海馬のすぐ隣にあり,へんとう体で強い感情が生まれると、それが海馬も刺激して記憶を強力に促す。やっかいな感情爆発には学ぶ能力を高める起爆剤の役割があった。
また,思春期はリスクのある行動をとる時に側坐核(快感の中枢)が激しく反応。だから、思春期には危険で無謀なことをしやすい。この「リスクを好む」ということが,人間が厳しい環境を生き抜く力となっている。
○脳は後から前へ成熟していく。脳の前頭前野(脳のブレーキ)は,最後まで成熟しない。
前頭前野の成熟に時間がかかることは短所だと考えられてきた。しかし,それによって起こる思春期の衝動はとても重要。リスクを恐れず,新しいことにチャレンジするからこそ,多くを学び自立できる。
○性ホルモンの作用で活発になるのは,脳の中心部分(へんとう体,海馬,側坐核)。これらの活動を抑えるのが,前頭前野。
前頭前野が十分に働き始めるのは25才過ぎ。そのおかげで,思春期の高い学習能力やチャレンジ精神が存分に高められる。
あえてブレーキをきかせない思春期の脳の戦略。このことが,人間の進化において,とても重要役割を果たした。
およそ6万年前のこと。私たちの祖先は住み慣れたアフリカを飛び出し,様々な危険の待つ新天地へと飛び出していった。人間の繁栄につながったこの無謀な大冒険を成し遂げられたのは,やっかいな思春期のおかげだと考えられる。思春期がなければ人類の繁栄はなかった。
絶滅したネアンデルタール人は,思春期がほとんどなかったといわれている。リスクを恐れず,好奇心に基づいてチャレンジする力が,ホモサピエンスが繁栄した一つの理由であると考えられている。
○親が嫌いだから感情爆発するのではなく,そうしないと自立できないからやっている。
○急速に変化する現代の社会の環境。それは,進化のたまものとして過敏な脳を授けられた思春期の子どもたちに,日々ストレスを与え続けています。その事実を大人たちが理解し,寄り添うことが,子どもたちの未来を守る力になると,最新の科学はそう教えてくれています。
③に続きます。