あまんさんの童話を読んでいると、ぼくたちの身ぢかな場所にだって、まだまだすてきなところがたくさんあり、人間らしい心さえうしなわなかったら、いつでも、だれでも、そこへいけることを信じさせずにはおきません。…
子どものような至純さと同時に、人生の本質を鋭く見抜く力、しかも、それを誇張するのではなく、やわらかな光にも似たあたたかさで、私たちに美しい夢を見させてくれるのです。
(西本鶏介「続 車のいろは空のいろ」ポプラ社文庫解説より)
コンにちは。
銀ぎつねのブログへようこそ~
心に残った本をご紹介しています。
暑くなりましたね
しばらくぶりの更新です。
夏休みに入り、週末の予定やら子ぎつねの部活やら大会やら、イレギュラーなことが多くなり。
そんななか、ペットのインコちゃん体調不良で動物病院へ
そう、銀ぎつねの家ではきつねの数より、インコの数の方が多いというね…。
結果、人間でいうところの食中毒のように、腸の不調でした。
お薬で治療、経過観察、通院中です。
皆様のところへもなかなかお邪魔できずご無沙汰しておりました。
またゆっくり寄せていただきますね。
暑い時期、皆様もご自愛ください
さて、本です。
「あまんきみこセレクション2
夏のおはなし」
あまんきみこ作
三省堂
あまんきみこさんは、言わずと知れた児童書の作家さんです。
代表作の一つ、「車のいろは空のいろ」はいっとう好きな童話です。
そんあまんさんのセレクション本を図書館でみつけて大興奮
今回は「夏のおはなし」を借りてみました。
挿絵も、にしまきかやこさん、村上康成さん、黒井健さんなどなど魅力的ですねえ
大好きな作家さんのこういう集大成の本はコレクションしたくなります。
なにせ、作品を網羅してるだけでなく、貴重な対談が巻末に収録されていたりしますから。
作家さんの日常や作品が出来るまでの秘話、交友関係、ひいては人生まで知れちゃう。
この本では、児童文学作家の岡田淳さんとの対談が掲載されてました。
う~ん、ファンにはたまりません笑
個人的には5巻のエッセイも気になるなあ。
あまんさんの童話は、むりやり想像をたくましくして、未知の国を散歩するファンタジーではありません。ふと気がつくと、この現実が、人間だけの世界ではなく、自然や動物とおなじ仲間になって心をかよいあわせる世界にかわっているのです。やさしく、あったかい文章と、不思議さを不思議と思わせないテクニックで、読者を未知の国へはこびこんでくれます。…それにしても松井さん(空色のタクシーの運転手さんのことです)のなんと、魅力的なこと、子どものような至純さと同時に、人生の本質を鋭く見ぬく力、しかも、それを誇張するのではなくやわらかな光にもにたあたたかさで、私たちに美しい夢を見させてくれるのです。松井さんはだれであろう作者そのひとといってもいいすぎではありません。空色のタクシーにのれば、いつだってすてきな場所へいけます。いちどおりても、またのりたくなるタクシー、だからこそなんど読みかえしてみても、あきることがないのです。(西本鶏介 「続 車のいろは空のいろ」ポプラ社文庫 解説より)
「夏のおはなし」の中には、お馴染みのかわいい童話ばかりでなく、戦時中の満州を舞台にしたお話もあり。
心をえぐられるほど哀しく切ない物語でした。やさしい童話のイメージが強いあまんさん。
こういうお話は、他ではあまりみないんじゃないかな…
コレクションシリーズならではですね。
満州生まれで戦争体験のあるあまんさんの、心の奥の芯みたいなものをみせてもらった気がしました…
あまんさんは旧満洲の生まれで、宮崎県出身で満鉄社員だった父親の転勤に伴って、新京(現在の長春)・大連市に移り住み、14歳で敗戦を迎えています。
そんな経験があるからこそ、美しく清らかでかわいい童話も、私達の心に響くものとなるのでしょう。
他に「すずかけ通り三丁目」や「霧の村」というお話も収録されており、それらは戦争や、ダムに沈んだ村のお話です。
時代の流れと共に”今は昔”の物語風なのですが、ファンタジックで不思議だけれども、真実として胸に迫ってくるものがあります。
目次より
そういえば「すずかけ通り三丁目」って歌を昔、谷山浩子さんがうたっていましたね。
知ってるって方もおられるかしら。
もうすぐ終戦記念日(8月15日)ですね。
「ちいちゃんのかげおくり」も、読んでいただきたい絵本です。
愛蔵本、講談社文庫
現代児童文学作家対談集9
この対談集は、大好きな安房直子さんの特集でもあります。
私は、あまんさんの絵本は持ってないのですが、このように著書はたくさん出ていますので、まだ読んでない方はぜひ手にとって楽しんでいただけたらと思います。
よくご存じの方は…きっと大切に想われていることでしょう。
それでは今日も最後までありがとうございました
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