コンにちは。
ご訪問ありがとうございます
私、子どもの頃から童話や絵本、ファンタジーが大好きでした。
私達があたりまえに暮らす現実世界のすぐ隣にあって、ある時ふと入り込んでしまうかもしれない不思議で美しい世界。
そんな、子どもの本の枠におさまらず大人が読んでも楽しめるような童話や絵本も紹介していきますので、ぜひ読んでみてくださいね
幻想的な安房直子さんの世界です
「きつねの窓」
文 安房直子(あわなおこ)
絵 織茂恭子(おりもきょうこ)
ポプラ社
いつでしたか、山で道にまよったときの話です。
…道をひとつまがったとき、ふと、空がとてもまぶしいと思いました。
まるで、みがきあげられた青いガラスのように…すると地面もなんだか、うっすらと青いのでした。
「あれ?」
一瞬ぼくは、立ちすくみました。まばたきをふたつばかりしました。
ああ、そこはいつもの見なれた杉林ではなく、ひろびろとした野原なのでした。
それも、一面、青いききょうの花畑なのでした。
ぼくは山の中の小さなそめもの屋の前にいて、ひとめで子ぎつねとわかる店の男の子に出会います。
「お客さま、指をそめるのはとてもすてきなことなんですよ」
というと、子ぎつねは青くそめた自分の指でひしがたの窓をつくってみせました。
「ねえ、ちょっとのぞいてごらんなさい」
そういって子ぎつねが指でこしらえた小さな窓の中には、驚いたことに白いきつねのすがたが見えるのでした。
安房直子さんのお話の魅力は、空恐ろしいくらいに美しい独特の幻想の世界と、作者の深層がこめられたかのような繊細なストーリー。
指の中の窓にあらわれるのは、愛する大切な人。
子ぎつねの小さな窓の中にいたのは、今はもう会えない愛しい母ぎつねの姿だったのです。
正体がきつねだとわかってしまうのもかえりみず、人間の「わたし」に純粋な想いの結晶をみせた子ぎつね。
その切なさが行間からあふれます。
あなたもききょう畑のきつねのそめもの屋へ行ってみませんか?
あなたの指でこしらえた窓の中には、いったいなにが見えるでしょうか。
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