君がいて、
僕がいて。

当たり前だと思っていたけれど、当たり前じゃなかったんだ。

当たり前だと思っていたモノは
奇跡そのものだったってことに、ようやく気づいたんだ。

「君の笑顔は世界を救うよ」
そう言った時、君は「そんな訳無いよ」って、あの笑顔で言ったね。

君はああ言ったけど、僕は今でも信じてるよ。
君の笑顔の持つチカラを。

当たり前な日々に終わりを告げたあの日、「ばいばい」って笑って手を振った君だけど、その朱く染まった頬に、涙が溢れていたのを、僕は知ってるよ。

それでも強がりな君だから、最後までいつもの強がりな君でいてほしかったんだ。

…ホントは、抱きしめてしまいたかった。


なんて、もう遅いね。


夕日のオレンジの中、そっと下ろした手のひらで、頬を拭った。
遥か遠くまで広がった青空も、
今にも泣き出しそうな曇り空も、
涙で溢れた雨も。

真っ赤な優しい夕焼けも、
希望に満ちた朝焼けも。

雨上がりにかかった虹も、
優しく浮かぶ満月も、
眩しいくらいの太陽も、
真っ白な昼間の三日月も。

空に浮かんだ羊の群れも、
空を泳ぐいわしの大群も、
わたあめみたいな入道雲も。

ぜんぶ、ぜんぶ。
きみが隣にいてくれたから見えたんだよ。

これからも、きみとずっと見てたいな。
いろんな空を。