広島・尾道のしみず食堂、美恵子さん(店主)から久しぶりに今宵、電話がかかってきた。

いちばん最初、脚本家の早坂暁さんと一緒に行ったのがきっかけだったが、その後すぐ、取材でお世話になった。

それ以降、まるで気兼ねいらない故郷みたいになっていったんだ。
その場所、人々がノルタルジィを感じてきた。

尾道しみず食堂に“帰る”度、わたしの故郷になっていった。

「どうしてるん?元気にしてるん?」
その響きが泣きそうになる。

そして、いつもこんな調子。こんなタイミング。わたしの携帯が鳴る。
のんびりしているから、心ゆるしてしまう。

この食堂を「さびしぼう食堂」と名付けた地元の映画監督がいる。
大林宣彦さん。

戦前戦後、配給のときにバラック小屋で建てられたという小さな小さな食堂。
瀬戸内の小魚が並ぶ。

台風がきて、海水がドバっと入ってきても、全然平気で営業。
スゴーイ!と感心したものです。

尾道駅周辺の再開発が始まり、かろうじて、このしみず食堂と映画館は残っている。

「うん、元気じゃけ」

わたしの故郷でもないのに、なぜか、ほんとうに懐かしい!