先日、銀座のど真ん中の交差点、和光の前で信号待ちしていたら、何処からか、わたしの名を呼ぶ声がした。

見たら、去年の夏、青で渡っていたわたしにぶつかってきたメッセンジャーの上司の子だ。


場所は外苑前。
自転車の絵が描かれている自転車枠のところを正当に青で走りかけたとたん、メッセンジャーが思いっきり体当たりしてきた。
右手、右肘、負傷。打撲もあちこちした。

向こうが違反なのは間違いなく、警察も全面向こうが悪いと判断。

彼らは逃げず、その場でちゃんと対応をしてくれていた。

すぐ荷物を運ばなければならないため、無線で事故SOSを出したら、すぐ別のメッセンジャーがきた。
そして、もうひとり、事故処理班のしっかりした男性がスピーディーに現れた。
わたしを気遣い、親切丁寧に全面、こちらの要望に応えてくれたんだ。


そう。
その彼と銀座で出遇わした。メッセンジャースタイルが勇姿そのもの。決まっていた。


話を当時に戻すが、
愛車の右ハンドルがぐにゃと曲がり、前輪のホールが微妙に曲がってしまった。

右肘があまりにも痛いため、事故の夜、病院で検査したいから探してとお願いしたら、探して付き添いもしてくれた。
右肘骨折の疑いとなり、別日にMRIで骨折かどうかを調べたら、骨折していたことが判明。

全ての治療費、自転車修繕、ケアまでを支払いしてくれた。
もちろん、メッセンジャー社は保険に加入しているから、保険屋が払う訳だが、ぶつけた加害者の彼が立て替えなければならない。

若い地方出身者の男性。
しだいにわたしは気の毒で可哀想に感じてしまった。

ちょうど一年前、わたしたちは和解した。
書類も交わした。
これ以上、治療費は請求しない、と。


信号待ちの間、ふたこと、みこと、会話した。
わたしの名前を覚えてくれている。
その加害者である彼の上司もメッセンジャーなんだ。。
彼は元気なのかと尋ねたら、元気としか言わなかった。
有り得ない事故だから、と、その彼はメッセンジャーから干されてしまった。

いま、どうしているのか知らないが、
ずっとケアしてくれて、誠心誠意やってくれたので、彼の未来をちゃんとしてあげてほしいと希っていた。

常に自転車だから、また何処かで会えるかもしれない。