ニケの肺腺癌がわかったのは12/3です。
ニケは1月で18歳でしたので、人間で言えば90歳ほど。
18年間病気は一回もかからず、階段の昇り降りを毎日していて、便も排尿も問題なく、少食ながら毎日きちんと高齢猫用のサイエンスダイエットのカリカリを食べ、歯もたくさんありました。
血液検査の結果は極めて良好、レントゲンには結石が一つ写っていましたが、他に問題もなく、心臓の厚みなども正常だったそうです。

健康状態がそのように良好であったにも関わらず、主治医の先生にがん治療はすすめられませんでした。
自分でも、たくさんのサイトや闘病記を読ませて頂き、

・猫の肺癌は手術がとても難しい
・抗がん剤も効きにくい
・年齢的に検査のCTの時点で麻酔の負担が心配

ということを知りました。

延命したい気持ちはありましたが、
寿命を超えて一緒に居てくれたニケに、余命をできるだけゆっくりおうちですごさせてあげたい気持ちの方が強く、
がん治療は断念し、ステロイドで炎症を抑える、胸水が貯まって苦しくなれば抜く、対処療法の緩和ケア治療に専念することにしました。

そのための病院はどこにするかですが、我が家はかかりつけ医にそのまま通院しました。

ニケがかかりつけにしていた病院は、自宅から車で15分ほどにある、市内で一番大きく、年中無休、獣医師が常に3~4人常駐していて、設備も整った評判の良い獣医です。

主治医の先生は、毎回診察のたび泣き崩れる私に寄り添い、励まし、支えになってくださり、ニケを毎回褒めてくださって、ニケも主治医の先生は全く怖がりませんでした。むしろ好きだったのではないかと思います。
飼い主と猫と主治医の相性は、終末動物医療においてとても大事なことだと思います。

また、胸水の溜まるスピードは突然変わります。昨日まで5日間隔で良かったのに、突然2日間隔になったりします。
胸水が溜まるがんの場合、年中無休のかかりつけ医を選んでおくというのは大事なことだと思いました。
かかりつけ医は1/1〜1/3は休診ですが、患畜のみ事前にお願いすれば時間指定で診て頂けました。お正月料金は2300円ほどでした。
また、午前と午後の間の休診時間も、電話が通じ、緊急時は時間外料金2300円ほどで診て頂けるとのことでした。

呼吸困難になりながら病院へ向かうので、なるべく近所ということも大切です。

費用ですが、かかりつけ医の胸水抜去費用は、会員割引があって7724円。
再診料、エコー技術料、胸水抜去費用の3点セットです。
獣医の値段設定は自由ですので、病院ごとに値段はかなり違います。他の方のブログなどを拝見すると、おそらくかかりつけ医は高い方だったのだろうと思いますが、その分質が良かったと感じています。

かかりつけ医の胸水抜去は、麻酔もせず、毛刈りもせず、エコーを見ながら、肺の動きに合わせて注射器を引き、ギリギリまで胸水を抜いてくれました。
(ニケは本当にじっとして胸水を抜かせてくれるので、それができるとも言われていましたが)

ニケは癌による炎症の滲出液の胸水なので、胸膜内が癒着してしまい、胸水の小部屋が沢山でき、後半胸水を抜くのがとても難しくなりました。慣れた技術のある先生でなければできなかったと思います。

エコー画面は患畜ごとに保存されていて、前回のエコーを確認してから処置に当たって頂いたようです。
全部で13回胸水を抜いて頂きましたが、私たちも時々エコー画面を初診の状態から今どうなっているかを比較して見せて頂き、病状を把握することができました。

胸水の抜去は、どこの動物病院でもできますが、レントゲンを見て大体で抜くところもあれば、毛刈りしてエコーをかけ、麻酔を打ってするところもあり、抜ける胸水の量もまちまちのようです。
臓器の近くに針を刺すため、事故が起きることもあります。呼吸困難時に肺に針が刺さってしまったら、おそらく助かりません。

我が家では、主治医との相性、年中無休、距離、技術、設備と、総合的に考えてかかりつけ医がベストだという結論になりました。

参考に、ネットで調べた胸水抜去方法がニケにはどうなのか相談した内容と、ニケが受けた治療の治療費を記載します。
治療方法と病院選びの参考になれば幸いです。

■胸腔ドレーン設置
自宅で胸水を抜けるよう、手術でチューブを設置する方法です。
ニケはがんによる炎症から胸水が出ているため、炎症部分が癒着を起こし、どんどん胸水の小部屋ができてしまっていました。そのためドレーンを設置しても使えるのは短期間になるでしょう、また、手術の身体への負担が逆に余命を縮めるかもしれない、おすすめできませんとのことでした。
私たちも、ニケがドレーンを気にするだろうことを考えると、やめた方が良いように思えました。

■利尿剤による排水
心臓が原因の胸水なら、利尿剤が良いのですが、がんの炎症による胸水には利尿剤が効きにくいとのこと。
また、脱水がひどくなるので、腎臓への負担が心配だと言われました。

■ステロイド
(内服薬一錠100円、注射一回1000円、処方料別)
ステロイドを選択したのは、炎症を抑える効果と、副作用の食欲増進、多飲多尿で、体力の維持、多飲で脱水の防止を狙ってのことだったようです。排尿による胸水の排出も私は少し期待していました。
おしっこの量は一日1〜2回だったのが、3〜4回に増えていました。
人間のがんの胸水にも、ステロイドが効くことがよくあるとネットで読みましたし、一時期ステロイドを飲まなくなり、飲んでくれる甘い消炎剤に変えたら食欲が減退した上胸水量が二倍に増えたこともあり、たまたまかもしれないと思いつつ、薬はステロイドに戻してもらい、亡くなる前々日まで投与していました。
結果亡くなる前日までニケは大好きなおやつを欲しがり、食べ、おいしそうに目を細めていました。
食欲があるというのは、飼い主にとって何よりの救いでした。

ステロイドは安価で、水薬、錠剤、注射など、投与方法が色々あります。
最初は好物の餌にまぜれば喜んで飲んでくれていたのですが、突然拒否するようになりました。
直接飲ませる方法に切り替えるも、大量のよだれと泡を噴いて吐き出しました。
その後、もう一度ステロイドに薬を戻す際、錠剤で飲んでくれるのを病院で確認させてもらってから処方してもらいました。
75度に顔を上げ、苦さを感じない舌の奥、ザラザラがない所に落とし、上を向かせたまま口を閉じさせて口におやつを塗ると、舌をちょろりと出して飲んでくれるようになりました。
(病院では口を濡らすと習いましたが、それだと家では舌を出してくれませんでした)

■インターフェロン
(インターキャット 9170円)
12/31に、胸水量が二倍に増え、食欲が落ちた時、インターフェロンの免疫強化に期待して一度投与しました。
かかりつけ医には6人の獣医さんが在籍していて、患畜について、毎回次の治療方針を相談して下さっていたようです。
その中で、インターフェロンの免疫強化力で、がんの進行を遅らせられることがある、ただ確実ではない上、値段も高いから、おすすめする訳ではないけれど、という提案があったそうです。
効果が出なくても、ニケにとって悪いことは滅多に起こらないと聞き、投与して頂きました。
翌日食欲が戻り、元旦にみんなでご馳走を食べることができました。
インターフェロンのおかげなのか、同日にステロイドに戻したおかげなのかわかりませんでしたが、どちらにせよとても嬉しい出来事でした。しかし3日でまた食欲低下。効果はあるとしても短く薄いと感じました。


以下かかりつけ医の診療費です。
会員割引制度があり、6ヶ月会員(3980円)になると翌日から診療費が10%引になるので、二回目の診察に行く前日に入会しました。
13回受診し、トータルはおおよそ16万ほどになりました。

初診
診察料 1990円
処方、調剤料 860円
新患登録料 670円
レントゲン検査(大)1670円×3
レントゲン影読料 3922円
血液検査料 446円×6
血球系検査 1670円
胸水抜去 5007円
超音波検査技術料 2005円
検査代(胸水病理検査)11130円
採血量690円

合計36740円

二回目以降
再診料 1570円
胸水抜去 5007円
超音波検査技術料 2005円
注射3種(ステロイド、消炎剤、抗生物質)と皮下補液 注射薬剤料 3467円
インターキャット 9170円