処方薬は、似た名前でも中身がまったく違うことがあり、プロの薬剤師でも間違えないと言い切れない。そこで大阪の薬学生が、ゲーム感覚で薬名を覚えるスマートフォン用のアプリ開発を思いついた。調剤ミスによる重大事故をなくしたい――大学生が、無料公開に向けて頑張っている。
「あー、間違えた。テオフィリンの商品名は、なんやった?」
「『フィーリングで湯に入る』だから……、ユニフィルや!」
摂南大薬学部(大阪府枚方市)の医療薬学研究室。学生らがスマホで挑戦しているのは「薬の名称学習アプリ」だ。
画面に出た一般名に対して、商品名と画像の選択肢が複数並ぶ。間違えると「フィーリングで湯に入る」といった語呂合わせのヒントが出て、またチャレンジ。ヒントなしで正答するまで繰り返す。
薬局で渡す薬には、成分で呼ぶ一般名のほかに、メーカーが名付けた商品名がある。同じ成分でもメーカーによって商品名は違うこともあり、間違いやすい。
例えば、商品名アマリールは血糖値を下げる薬。一方、血圧を下げる薬にアルマールという商品名のものがあった。もし、高血圧の患者が誤ってアマリールを飲んだら、低血糖症を引き起こしてしまう。患者の死亡事故なども起きたことから、アルマールは2012年、商品名を変えた。
それを知った学生らが、薬局で調剤することが多い糖尿病や高血圧の薬50種類ほどを選び、成分名、ヒントを書いた「読み札」と、商品名や画像をつけた「取り札」から成る紙のカルタをつくった。
摂南大の卒業生でカルタ制作に関わった浅野貴生さん(25、名古屋市の調剤薬局勤務)は「勤め始めた頃は覚えるのが大変だったけど、カルタで覚えた薬はすぐに取り出せた」と効果をアピールする。
ただ、カルタは札を並べる場所や、読んでくれる人が必要。気軽に、1人でも学べないか。悩む学生に、高田雅弘准教授(53)が「アプリにしたらええんちゃう?」と助け舟を出した。