(@DIME)
私たちは、0次元(点)から4次元(3次元+時間)の世界で生きていると言われているが、デザイナーたちが関わるのは主に2次元(平面)と3次元(立体)の世界だと言える。なぜならその他の次元には手を加えることができないからだ(できたとしてもごく限定的な範囲に留まるだろう)。2次元と3次元との間を行き来するデザイナーたちであるが、彼らはそれぞれの次元で飽き足らず、いつしかそれぞれの次元を繋げる試みをするようになったようである。
今回、紹介するのは、いずれも2次元と3次元の境界が曖昧になったデザインたちである。面白いと感じると同時に、人間の感覚がいかに頼りないものであるかを実感させられるデザインたちだ。
■2次元を3次元に変化させる試み?その1『Mikro』
イギリスのアーティスト、Sam Buxton氏によるデザイングッズ『Mikro』は、平面を立体に組み立てるデザイングッズ。『Mikro』は元々目新しいビジネスカードとして作り始めたものだということだが、今ではすっかりデザイン性の優れたインテリア雑貨となっている。フラットなステンレス鋼のカードを折り曲げていくとジオラマのような世界が広がる。例えば『Garden』という製品であれば、組み立てたキューブの中と外に草花が生い茂った庭園が現れるといった具合だ。
他にも買い物をカートを押してゲートを通過する姿を再現した『Diet』や、病室で骨折した(?)右足を天井から吊り下げられた『Accident』等、想像を駆り立てられるユニークなデザインが揃っている。価格は8ポンド(約1,380円)から65ポンド(約11,200円)。「mikro」のホームページから購入することができる。元々はカード状のステンレス鋼なので、そのまま友人へのギフトとして贈ることも可能だ。
■2次元を3次元に変化させる試み?その2『Paper Speaker』
「Paper Speaker」は紙製の電子機器のひとつだ。バッテリーやアンプといったものは立体の製品を使用するが、それらを繋ぐ回路は紙に導電性インクで描かれており、サウンド?コーンは紙から起こして使用する。つまり、自分で複雑な回路を繋がなくても、あらかじめ、紙に描かれたイラストに合わせて小型の機器を繋げば『iPod』等を繋いでスピーカーとして使用することができるのである。
丁度説明書がそのまま製品になるイメージだろうか。あとは小型の電子機器までも紙の上に印字することができれば、将来的には、電化製品をWebからダウンロードしてプリントアウトする、なんて未来も来るかもしれない。
■2次元を3次元に見せる試み?その1『BULBING』
「KICKSTARTER」で資金を募ってるLEDランプがすごいのである。見た目はかなり大振りのワイヤーで作られた電球のように見える。ところが、実際には5mmしかない平面であり、横面から見ない限りそうとは分からないのである。アクリルガラスの板にレーザーで精巧に印刷されているものだということだが、このような技術を使うことによって、3Dのランプとして製作するのが難しいデザインを、平面のプレートで可能にしているのだ。
ランプ部分は台座から取り外せるようになっているので、気分や日によってランプを変えるのも面白い。しかも交換するランプ自体は平面ということもあって、収納に困らない点もプラスに働くだろう。すでに予定されていた募金額は達成されているので製品化は決定しているこの『BULBING』、早く市販化されて欲しいものである。
■2次元を3次元に見せる試み?その2『3P clock』
「Robocut studio」は、まるで壁面に立体的なキューブが浮かんでいるかのように見える壁掛け時計だ。若干中央部分が手前にせり出しているので厳密には2次元ではないのだが、それでも本来そこにあるはずのないキューブを見せている点で充分にその試みは成功していると言える。本体の素材には櫻の木を使用。価格は80ドルで「Robocut studio」のHPから購入することが可能だ。
■3次元を2次元を見せる試み『thin black lines』
最後に紹介するのは、これまでとは逆に3次元でありながら2次元に見せる試みである。日本のデザインスタジオ「nendo」が2010年に発表している作品群『thin black lines』は、実際には立体として存在しているのだが、輪郭だけで描かれたスケッチのように見えるので、特に写真として見ると2次元の存在にしか見えないのである。
シリーズとしてはチェア、ハンガーラック、サイドテーブル、ミラー等が発表されているが、こうして見ていくと、これらの製品は最低限輪郭を残せば機能を果たすことに気づかされる。こうした製品を、その製品とあらしめている価値というのは意外とミニマルなものなのかもしれない。
text/Wataru KOUCHI
趣味は合唱、読書、語学、旅行、美術館巡り、雑貨屋探索etc...日本、海外の雑貨やガジェット、デザインコンセプトの中から思わず「それ、いただき!」と言ってしまうモノ達を紹介するライター。