ある時。
ある人々の中で、私はすごすごとその方の前に行き正座をして深々と頭を下げた。
「申訳ありませんでした」と、勝手をしていた自分を詫びようとしたその時に、「お帰りなさい」と思いがけずニコニコとその方は笑顔で声をかけてくださった。
!!!・・・
「ただいま帰りました。」と、とっさに私は答え、一礼をしてその場を立った。
その方の大きな懐を見せられた瞬間だった。
これは数十年も前のこと。その方はその後大病され治療の甲斐もなく亡くなったと人づてに聞いた。
また、ある時、ずいぶんお歳を召されていたご婦人が凛としてこんなことを言っていたのを聞いたことがある。「私の主人はお人であった。」その時、その意味が私はよくわからなかった。でも、なぜかその言葉は私の耳に残り折にふれ思い返していた。
雲が流れ季節がどれほど変わっても「人」が人間であることは変わらない。人間とは人と人の中でお互いに支え合って生きている。
「人」でありたい。そんなことを切に願う昨今である。
もし、「ただいまー」と、言ったなら「おかえりー」と笑ってくれる人は今もいるだろうか?
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