初老の紳士の言葉のまま、紗季は後をついて
豪華なマンションに消えて行く・・・。
「もし良かったら、気が済むまでここに居たら良い」
そう言うと初老の紳士は、フカフカのソファーに腰を下ろした。
「・・・」
紗季の目は、魂はほとんど死人に近かったほど
まともな状態では無かった・・・。
「そんなにずぶ濡れのままだったら風邪ひくぞ!
シャワーでも浴びて身体を温めておいで」
そう言いながら初老の紳士は、これまた豪華な箪笥から
シルクの白いパジャマと真っ白なバスタオルを
紗季に持たせた。
紗季は、なんの反応もしないまま、ロボットの様に
言われるがままに動き、バスルームへと消えて行った・・・。
「しかし、一体何が有ったんだ?」
尋常じゃい紗季の様子に気を遣うこの初老の紳士は
さっき紗季がお金を下ろすのに立ち寄った
コンビニのオーナーだった。
今日1日の売り上げの状況視察に来ていて
店の奥にある警備用モニターで紗季を見て
異様な雰囲気に胸騒ぎがして、彼女の後を追い
かさを差し出し声をかけたのであった。