2007年2月27~3月10日スペインを旅しました
「もしスペインに1日しか居られないなら、
迷わずトレドへ行け」
というスペインの格言があるとか
トレド(Toledo)は
スペイン・カスティーリャ=ラ・マンチャ州の州都
スペイン中央に位置するマドリードから
南西に約70km 高速列車で約30分の場所
三方をタホ川に囲まれた
小高い丘の上の古都です
一般的にカステラの名前の由来は
カスティーリャ王国(Castilla)の
ポルトガル語発音「カステラ」(Castella)
と言われる
ラマンチャ地方と言えば『ドン・キホーテ』
17世紀に作られたセルバンテスの小説
街中 セルバンテスの像
ラマンチャ地方はトレドの東南に位置し
風が強く標高の高い平原
トレドからバスで約1時間半ほどの
コンスエグラで
ドンキホーテが巨人と思い込み突撃した
大きな風車群が見られます
トレドはかつての
西ゴート王国(ゲルマン文化:415~711年)
の首都
ローマ時代からの要塞の地で
中世にはイスラム教・ユダヤ教・キリスト教の
文化が交錯しました
6世紀末 西ゴート王国は
カトリックを国教と決定しましたが
8世紀にはイスラムの支配下に
11世紀末 キリスト王国に
支配が変わりましたが
イスラム教徒には寛容だったようです
13世紀から約270年かけ
カテドラル(トレド大聖堂)が
建てられました
カテドラルの正面には3つの入口
「地獄の門」「免罪の門」「裁きの門」
カテドラル(大聖堂)の礼拝堂は
約30mの主祭壇
『新約聖書』の20場面が
金ピカに彫刻されてます
聖歌隊席の中央に
トレドの守護神である白いマリア像
トランスパレンテ(透明天井)には
たくさんの天使たちに光が注がれてました
カテドラルの聖具室の祭壇に
エルグレコ『聖衣略奪』が飾られています
キリストが十字架に架けられる直前に
衣服を剥がれる姿が主題
死刑執行の準備で荒々しい周りと
3人のマリア
中心で天を見上げているイエス
赤、黒、黄色の服の対比で
ドラマチックに描かれています
エルグレコ(El Greco:1541~1614年)の
本名はドミニコス・テオトコプロスで
「ギリシャ人」を意味するグレコに
スペイン語の冠詞エルがついた通称
エルグレコは“あのギリシャ人”
の意なんですね
現在のギリシア領クレタ島出身、
ヴェネツィア、ローマ経由で
35歳でトレドに移り
トレドをこよなく愛し 永住した画家
ギリシヤ、イタリア、スペインを巡った
文化、美術スタイル・技法が
絵画に垣間見られます
エルグレコ『聖衣略奪』 1577年 ~ 1579年制作/
所蔵:トレド大聖堂 (カテドラル)
クリスマス(Christmas)は クライスト(Christ)・マス(mas)
神の子イエス・キリストが
「降誕」したことを祝う祭り
イエスの生誕は紀元前4年
享年は34歳と言われてます
16世紀末にグレコが描いた
『トレドの風景』は
暗くくすんだブルーの空に動く雲と
輝く緑の丘との対比の中
トレドの象徴的建物群が描かれています
何かが起こりそうな 緊迫感溢れる風景
『トレドの風景』
1596~1600年制作/
所蔵:メトロポリタン美術館 (アメリカ)
グレコが暮らしたユダヤ人地区の家の一つを
20世紀に美術館に改装
三方を川に囲まれ
標高約500mの丘の上に立つ
トレドはまさに「自然の要塞」
戦略的に有利な地形でありながら
ローマ人、イスラム教徒、キリスト教徒と
支配者が次々変わっていきました
幅1mにも満たない
狭くて複雑に曲がりくねった路地が
迷路のように張り巡らされています
8世紀に街にやってきたイスラム教徒は
街の路地をより複雑に造り上げ
地形的に恵まれた「自然の要塞」の守りを
さらに固めました
目標が見えてもたどりつけません
イスラム文化の特徴である
鍵穴みたいなデザインも
街のあちこちで見かけます
昔は戦略的な守りの迷路に造りあげた
路地構造も
今では ときめきに変わったり
思いがけない
小さな感動を引き起こしたり
迷路も俯瞰して眺めると
美しい風景だと気づきます
生きていて
迷路にはまってしまったと思ったとしても
とまどいを ときめきにシフトすれば
エモーションは
人生を美しくする導きになるかもしれません
さくらんぼの花でしょうか
トレドの金銀細工の伝統工芸
ダマスキーナ(イスラム文化の装飾工芸)