星を見るのが好きです。
この間、見慣れない星があるな~よく見たら赤と白い星が点滅している、UFOだ!
と思ったら試験的に低空飛行している飛行機だって。
冬の大三角形って素敵だなぁ~ ん?オリオン座のべテルギウス、暗くないか?
と思ったら、新聞記事に「超新星爆発か?」「お前はもう、死んでいる。あべし!!」の記事が載っていた。
そんな星が好きな僕が、面白い本と出会いました。
『死ねない悪魔』
近藤樹里 近藤孝義 著
幻冬舎
小説です。
上下巻あります。
ジャンルとしては、SF小説になるのかな?
概略大筋としては、男女の若者4人が出会ったところから始まり、霊界(=宇宙)に存在している 「記憶層」 を探し求め、東北日本海沿いに屹立する鳥海山を目指す。 途中、霊界(宇宙)と地上界(日本)でテロを企てる天野光悦を阻止すべく立ち向かう、という内容。
先ず文体、特に会話文の書き方が面白かった。
それぞれの会話を改行しないで書いてある。 最初戸惑ったけど、すぐに慣れた。 むしろ一気に読める。
かぎかっこ「」 で会話、()で心理描写、ともちろんわかれているので、問題ない。
たしか、谷崎潤一郎の『春琴抄』 だったと思うが、あの文章、書き方を彷彿させるような、一息に読ませる、読ませてくれる。
ありがたいです。 おかげで上下巻、すぐに読み終わりました。(すぐにってほどでもないか)
そして、この小説の全体を通して驚嘆したことは、そのスピード感、疾走感であろう。
緊張感を伴いながらのその疾走感。実にスリルである。
シェイクスピアの全作品(全部は読んでないけど)に通底するそのスピード感。
あっぱれです。
また、4人の若者(男2人女2人) の自動車旅行というのも 「いいね!」 である。
ワクワクする。 色々な意味で。 何か起こるんじゃないか、何かおこってくれ、と勘繰る。 感情移入もしやすい。別に私もう若くないけど。
4人の若者の心理的な変化、精神的な成長も面白い。
差し詰め上巻最後の都築稜のサナギが蝶に変化(たとえ) も非常に良かった。
そして、物語の主眼である 『記憶』 というのが感慨深い。
『記憶』がないから戦争が起こる。
記憶 -- 想い出 -- 想像力
私自身にとっても非常に大事で大切なキーワードである。 生きていく上で。
愛読するヴィクトル・E・フランクルの『夜と霧』 で
「あなたが経験したことは、この世のどんな力も奪えない」
と明言している。
ナチスの強制収容所の耐え難い強制労働中に、生きているのか死んでいるのかわからない愛する妻と心の中で会話することで救われた、と。
また、
2015年パリの同時多発テロで妻を失ったアントワーヌ・レリス氏曰く。
「犯罪がおぞましいほど憎しみは正当なものとなる。」
でも、犯人を非難しなければ
「悲しみとだけまっすぐ向き合う」 ことができる。
そのほうが、妻を「自由に思い出せる」 と気づいた、と。
また、
最近の連載小説で重松清氏が「想い出は自分の好きなように変えればいい。」 みたいな事を書かれていた。
また、
みんな大好きアンパンマンは「もし自信を無くしてくじけそうになったら」 「いいことだけ思い出せ」 と。
この小説でも 「記憶」 が重要なテーゼとなっている。
死んだ魂と語り、その魂の「記憶」の限界、生命讃歌、色々な要素を内包している。
また、読み手にも様々な解釈ができるような内容。
小説とは、かくあるべきかな、である。
本作品より抜粋
『それは ”記録” ではあっても、生身の身体と心が一緒になって初めて残すことのできる本当の ”記憶” ではないんだ。 ~略~ できる限り長生きして、できるだけたくさんの記憶を自分の心の内に詰め込めるだけ詰めこんでほしい』
また表現力も素晴らしい。
「美が襲う」
なんかカッコイイ。
それと、ホテルの一室でのウィスキーパーティーには、僕自身も参加したいと思った。
さらに、裸になった美女達の ”ヴィーナスの饗宴” を覗き見るマクアを心底うらやましく思い、僕自身も参加したいと思った。
けれども、記憶を持つ精子霊が霊界に存在しているというところを読むと、僕自身非常に不安になり、緊張して青ざめる。
「難解な小説」 ともあるようだが、決してそんなことはない。
読み手を選ばない。 門戸は広い、ポップな小説である。
確かに少し複雑な箇所もあるが、そういうところは登場人物が繰り返し会話をして説明してくれている。著者の優しさであろう。
ポップでキャッチーでメロディアスな万人受けするビートルズと同じである。 題名的にはローリングストーンズか。
とかく、非常に面白く楽しみながら読めた。
夜空に浮かぶジェットコースターに乗ったような気持ち。
ときには笑い、ときには涙する。
是非とも一読ください。
ついでながら、作中に出てくる鳥海山の鳥海ブルーライン。
その始点となる日本海に 『十六羅漢岩』 という名勝史跡がある。
日本海の海岸岩場の岩壁に仏様が何十体も彫られている。
江戸時代に荒波に散った霊を供養して寛海和尚という人が彫り上げて、完成した後に自身も海に身を投じ入滅したとか。
5年位前の夏に訪れたが、なかなか、見事で圧巻でした。
荒波が凄い場所でもあり、酒で酔っていた僕は畏怖と恐怖で酔いが一気にさめたのを思い出した。
また、近くの道の駅でサンダルくらいの大きさの岩ガキをひとつ500円で売っており、隣接する海水浴場で鳥海山をバックにビールと一緒に食べた時は、「幸せって今なんだ」と実感した。
あの時の ”記憶” だけで霊界で100億年いきてられそうである。
領域名は 『岩ガキ』。
真っ先に真空爆弾のえじきか。
おしまい



































































