労働者自己の生活に必要なだけの労働の対価は賃金と呼ばれ、地主や資本家が搾取した取り分は利益と呼ばれます。

 しかし、搾取の概念をモデルで数値化することは可能であっても、現実面で数値化することは不可能です。例えば、利益利益と呼ばずに、経営者役員報酬に上乗せして分配してしまえば、適正な報酬と搾取の境界線は分からなくなります。

 つまり、搾取は確実に存在するものの、計測出来るものではありません。

 したがって、搾取の全廃も概念上存在するだけで、現実において全廃された状態を確認することは出来ません。これがマルクス経済学の致命的弱点です。