近代日本画の私立美術館を訪ねて
□ 実業家が建てた、私立美術館を訪ねて。
実業界で成功した人は、何故か江戸から明治期の近代日本画家の作品を蒐集した方が多い。それらの方が建てた私立美術館を訪ねてみた。
細かい異論はあるが、拙い知識で考えると日本画は仏教画を別にすれば、鎌倉時代に日本に入った「水墨画」が源流に思われる。それが室町時代の御用絵師狩野永徳に代表される狩野派を生み、江戸期の幕府御用絵師へと続いている。
江戸期では狩野探幽が有名である。狩野探幽は早熟の天才といわれ、江戸幕府
初代御用絵師として、多くの障壁画や襖絵が現存している。
京都妙心寺法堂の天井画『八方にらみの龍』は観る者に圧倒的な迫力で迫る。
また、京都二条城の『松鷹図』は郵便切手で有名である。
東京のサントリー美術館の『桐鳳凰図』六曲屏風は、六曲一双の大画面に、それぞれ見つめ合うつがいの鳳凰2組と小鳳、それに桐樹、流水などを配しまとめ、背景は全面に金箔押しを施していて一見の価値が有る。
またホテルオークラに隣接する大倉集古館で今年4月から展示された“狩野派誕生展”の『富士三保清見寺図』は宝永の噴火前の富士図として興味深い。
同じ探幽作の『四季富士図三幅對』が山梨県南アルプス市の小さな美術館・嘯月美術館にあり、これも噴火前の富士山を垣間見ることが出来る。
狩野探幽を頂点とする狩野派の画法が各藩お抱えの御用絵師の規範とされ、数多の絵師を生み、幕末の動乱期を経て明治期の近代日本画へと連なっている。
そのためか、江戸時代から明治初期の日本画には狩野派の技法が数多く残されている。
その類似点が面白く、近代日本画を多く展示している美術館を訪ねてみた。
■ 嘯月美術館 <URL http://the-syogetu.com
>
富士山を仰ぎ見る山梨県南アルプス市、財団法人嘯月美術館は江戸時代に栄えた十日市場街に存在する平屋建ての瀟洒な建物です。
甲州財閥の一人で、初代根津美術館館長を務めた河西豊太郎とその子息俊夫が、長年にわたって収集した美術品を一般に公開するために昭和47年に山梨県下で最初につくられた美術館。
与謝 蕪村 作 『茶莚酒宴図』 六曲屏風 1双
狩野 探幽 作 『四季富士図』 軸 装 (三幅對)
狩野 芳崖 作 『山水図』 軸 装
橋本 雅邦 作 『瀑布山水図』 軸 装
酒井 抱一 作 『三ヶ月千鳥』 軸 装
この美術館では、収蔵作品の複製を作って、美術館の新生を心がけている。美術館の頒布品だけに見ごたえが有る。
■ 根津美術館 <URL http://www.nezu-muse.or.jp/
>
関東の北部を走る東武鉄道の社長などを務めた、実業家で茶人の根津嘉一郎氏が集めた作品を展示するために、東京・南青山の私邸に建てられた美術館。
尾形 光琳 作 国宝『燕子花図』 六曲屏風 1双
丸山 応挙 作 『藤花図』 六曲屏風 1双
■ 山種美術館 <URL http://www.yamatane-museum.or.jp/
>
山種証券の創始者である山崎種二氏が収集した作品によって設立した山種美術財団によって1966年に日本橋兜町に開設した美術館。現在は千代田区三番町。
酒井 抱一 作 『秋草鶉図』 二曲屏風 1双
椿 椿山 作 『久能山真景図』 軸 装
