20年前の話、私は30代だった。


仲良くしていた友達から急に呼び出された。

「とにかく何も聞かずに〇〇駅まで来て!」


私の家からその駅までは50分くらいかかる。

でも、友達の言う事だし行ってみた。


で、その駅から徒歩5分くらいのビルの一室へ連れて行かれた。


すると、会議室のような部屋に既に15名くらいの20〜30代くらいの人が座っていた。


100万以上しそうなピカピカのワニ革バッグをデスクにボンっと置いてホワイトボード前に立った男性は30代くらい。

コケた頬からの笑みがワニ革との違和感を漂わせていた。


そこからわけのわからない講義(セミナー)が始まった。

ホワイトボードに何か書いている。

皆んながメモを取っている。

友達も必死にメモを取る。


「皆さんも頑張れば私のようになれる!」


内容はわけがわからなかったが、わかった事は

作曲家や作家が貰えるような印税が月々入る。

その為に出資すれば良いという事だった。


講義が終わり、全員その近所のマクドナルドへ連れて行かれた。

すると、マクドナルドには数多くのテラス席があり、飲み物を用意した人達が各テーブルで待ち構えている。


その人達は皆目をギラギラさせている。

私達が座ると、ギラギラしたまま、熱くこう語る。


「夢を実現してみたいと思いませんか!

我々と一緒に!夢を実現させるんです!」


友達も目をキラキラさせていた。


私はその様子を異常に、、

非常に違和感を感じた。


気持ち悪かった。異様な光景だった。


そのわけのわからない話も終わった後、友達がスケジュール帳を開いてペンを片手に身を乗り出し、


「ねぇ、次はいつ来られる?!」


解らないと答えた。



数日後、友達は一本のビデオテープを送ってきた。見て欲しいと。


見るとまた、ホワイトボードに何か書きながら説明する男の人の映像だった。

これもまたわけがわからない。


当時はスマートフォンがなく、電話以外ではSkypeチャットだった。

チャットで友達が話しかけてきて喧嘩になった。


友「何で会ってくれないの?夢を実現したくないの?」


私「夢、夢って、結局お金でしょ?私は今の生活で十分だからいいよ。

なんで私を誘ったの?」


友「〇〇ちゃん(私の名前)が好きだからよ!」



すごく違和感を感じた。気持ち悪い。

好きだから呼び出す?内容も言わずに?



私「なんで先に内容言ってくれなかったの?聞いてたら最初行かなかったと思うよ。」


貴重な時間を返してくれ、と心の中で思った。


友「先に話して誤解されたくなかったからよ。」




、、、。話して誤解されるような事って何なんだよ。。



私「とにかく私はもう行かないよ。私には必要ない。」


友「何で話を聞く前に決めつけるの!」


私「ごめんね、行きたくないの。」




チャットは終わった。


ここでこの友達との関係は終わった。





友達の旦那さんは私の夫の友達であり、旦那さんも一緒にハマって仕事を辞めたらしく、

旦那さんから私の夫へ電話がかかってきて勧誘してきた。


私の夫「ごめん、俺そういうの嫌いなんだ。」


と、夫はハッキリと断った。


友達夫婦はアメリカの工場の視察まで行ったらしい。

その後どうなったのか心配だけど知る由もない。




ニュースキンのせいで私は友達を失った。


マルチ商法は友達を失わせるのだと知った。


その友達自体はとても純粋で性格良くて良い人なのに本当に残念だ。


友達を返してくれ。