私は、東京は小金井市の生まれである。
今は西東京と言われる地域で、私が生まれた1970年代初頭は、非常に田舎であったが、かといって山々がある、とか畑だらけ、とかそこまでではなかった。母の実家は新宿だし、生まれも育ちも東京っ子てなもんである。
そんな私が、地方のかなり山奥を移動していると、人工的に造られた観賞用、生産用の自然ではない、自然の自然を目の当たりにすると畏怖の念を抱く。森で覆いつくされ過ぎて太陽の光もまばら、鬱蒼と茂った森林は湿度も高い。その奥に何かが潜んでいるのではと錯覚するような闇が山々の奥から感じると心がぞわぞわする。例えば、もし小学生~中学生の頃、こういった山道を毎日片道1~2時間歩いていたらどんな心理状態になるのだろう。
時々こういった地方で猟奇的な殺人が起きるのは、私がなるような心理状態が感極まって魂が奪われるというか、平常心ではいられなくなるというか、自然というのはそういう怖さをもっている。というのを土台にした小説や民話ってあるよなと思う。
一方、都会は人工的に造りだしたものだから、よくも悪しくも全てがクリアである。自然によって心を奪われるような感覚にはならない。別の意味で心は荒んでいくが。
ただ、例えば夜~真夜中の新宿西口の眠っている高層ビルを歩いていると、夕方から夜の山々を歩いている時に感じる恐怖が私に襲い掛かることに気がついた。それは、自然が創り出したか人工的に造りだしたかのかの違いで、そこから生まれる闇は同様に我々の魂を揺さぶり狂気を喚起されるのである。
そしてそれは実は、とても魅力的なのである。